ベランダ

外は大雨で 風向きの関係でベランダには雨粒は落ちてこない

遠くの工場に霧がかかる 煙突の煙が霧と重なる

人が傘で見ている僕から顔を隠しながら急いでいる様だった

ツバメがベランダにとまった 羽根の油が抜け落ちて 上手く飛べなくなったみたいで

僕の優しい手に命を託す無抵抗な姿が見られて悲しい


ねぇ 温もりとはこの天気に現れるものと同じ成分なんだと気づいたんだ

暫く溜息ばかりで からって晴れると同時に開き直るものなんだよ


テルテル坊主が首を吊っている お爺さんが冗談交じりに言っていた

昔から雨はなんだかんだ嫌われ者で

天に人を捧げることで晴らすってのが由来なんだよ

って言葉を思い出した

神様とは随分下らない理由をつけて招待したい奴なのだなって思った

僕はこの部屋に人は入れることなんて無いんだろうな

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