第20話 デューク、調査団に同行する(中編)

その後のフロアボスはこの様な感じ。



16階フロアボス ゴールドサイプロクス(希少種)


17階フロアボス グランドグリフォン(上位種)


18階フロアボス ギガスキュラ(希少種)


19階フロアボス スプリガンダーク(希少種)


と希少種や上位種のオンパレードであった。流石の『黄昏旅団』のメンバーも呆れて居たが、ダンジョンでは無く迷宮だと考えて調査や攻略だと切り替えてやってる様である。



「こりゃゼノの旦那に追加貰わなきゃな。ダンジョンのレベルは超えてるぜ」


ジーザーが呟いた。



「まあ、この魔獣共を見れば分かってくれるよ。そういうトコは心配してないで良いわよ」


ミレーヌはゼノを信頼してる様である。



「さて、迷宮【ディスティニー】の20階フロアボスは何が出るかな~」


とナガトが笑いながら冗談を飛ばすと皆から失笑が漏れる。



「冗談飛ばせるくらいなら一人で大丈夫そうだな!」


とグレードマンが扉を指差ししながら言う。



(流石に凄いなあ…コレだけ冗談飛ばせるくらいリラックスしながらも探知を怠らないし。戦闘もまだまだ余裕も有るし…)


デュークかその様に思うのは無理も無い。彼等は迷宮の調査や攻略にも入る所謂「ガチ勢」で有る。だからスキルも経験も段違いなのだから…



「んじゃ行くぞ!!」



20階フロアボスの部屋を開ける…巨大なゴーレム…身体は青白く光る石…ミスリルゴーレム(希少種)である。素早くジーザーが防御体型に移りヘイト。メノスが直ぐに後ろに付き防御の支援魔法。ゴーレムはジーザーにパンチを浴びせるがガッチリブロックしている。


ミレーヌはグレードマンとナガトに攻撃力アップの支援魔法をかけて直ぐにゴーレムにスロウの呪文と目眩の呪文を同時にかける。魔法攻撃はミスリルゴーレムには殆ど効かない。その為に魔法を切替えているのだ。支援魔法を受けたグレードマンとナガトは途轍もない速度で手数を稼ぎ削り続ける。ゴーレムは攻撃するが速度は落とされ、目眩により上手く当てられない。


ミレーヌは更に二人に倍攻撃する魔法をかける。魔法が切れる前に支援魔法をどんどんかけていく。ラフレシアはジーザーに回復魔法をかけながら、グレードマンとナガトに防御魔法と速度アップの魔法をかけていく。更に二人はゴーレムを削り続ける。



「そろそろトドメだ!」



ミレーヌはメノスに攻撃力アップの魔法をかけるとメノスはゴーレムに【必殺スキル 破斬剣】を使う。


するとゴーレムが真っ二つに割れてゆく…倒れた瞬間にゴーレムの身体がバラバラに壊れた。辺りはミスリルだらけだ。


デュークは全てのミスリルと落ちていた大きな魔石を【キューブ】に仕舞い込むと後ろに下がる。



「ミスリルゴーレムとかマジ迷宮だな…」


グレードマンが言うと皆も頷く。


「しかもあの大きさ…いつもの二周りはデカいぜ」



「ミスリルも多かったわね。魔石も大きいし…」


ラフレシアは嬉しそうである。



デュークは部屋の隅にミスリルの結晶が水晶の様に生えているのを見つける。


「コレどうしますか?入れときます?」



「ん?ああ…『白猫さん』獲っておきなよ。ミスリルは沢山有るから」


グレードマンは笑いながら言った。



「有難う御座います!ん?メタ欲しいの?」


デュークの前でメタがぴょんぴょん飛んてアピールしている。



「メタ食べるの?魔石だけじゃないんだ…じゃあ良いよ」


そう聞くとメタはミスリルの結晶に乗りジワジワと自分の身体に吸収してゆく。



「へぇ~メタルスライムってミスリル食うのか?初めて見たよ」


メノスが興味津々で見ている。



「ミスリル食べるのは初めてです…魔石は大好きで食べてますけど…」



「メタちゃんは魔力石が好物なのかもね」


とラフレシアが言うとナガトが


「鉱物だけに好物ってか?」


と皆を凍らせている。



メタはミスリルを吸収すると満足気にデュークの肩に乗った。



「下行くぞ!気合い入れろよ!」


グレードマンは中層エリアになる次の階を気を付けての事である。



21階に降りる…が、魔獣のレベルは上の階とさほど変わらない。



「どういう事だ…上と大きく変わらんな…」


グレードマンは首を傾げる。



そのままフロアボスに突撃するとサイプロクスダーク(上位種)である。


そのまま戦闘に入り先程と変わらない時間で倒した。



「レベルが殆ど変わら無い。とすると考えられる事は一つだけね」


ミレーヌは驚愕の持論を話した。


「信じられないけど、階層が増えたとしか考えられない」



「オイオイ、そんな訳無えだろ!」


ナガトが否定する。



「うむ…確かにそれならこの状況を説明出来る。もしその仮説が正しいとすると30階から40階までの間に中層のラインがある筈だ」


ジーザーは静かに言った。



「じゃあそこら辺まではガンガン行こうぜ!30階から慎重にな!」


メノスは結構イケイケな感じである。



「もし、ミレーヌの言う通り階層が増えてるとしたら、60階から70階の間にある下層とのラインを探し当てた時点で一旦戻るしかねぇな。下層までの準備が出来てないし、この迷宮レベルのダンジョンでは駒が足りないからな」


グレードマンが今回の調査に関しての方針を述べた。



本来、迷宮調査は三倍のパーティー人数が必要だ。一隊目は調査部隊、二隊目は攻撃部隊、三隊目は回復部隊の三隊で行動するのが一般的である。そして攻略組の一隊目は盾部隊、二隊目は攻撃部隊、三隊目は回復部隊で構成される。その基準から照らし合わせると今のパーティーでは攻撃と回復が足りないのだ。ちなみにレイナが現在一緒に居るのは調査の構成のパーティーである。



「まず、その仮説を証明しないとな」


ミレーヌは静かに言った。



「まあ、そういう事だ。進んで見ないと分からねぇ」


グレードマンは更に続けた。


「さあ行くぞ!気合い入れてな!」



そのまま『黄昏旅団』とデュークのパーティーは20階層を突き進む。やはり仮説の通り35階まで魔獣のレベルは大きく変わらなかったのである。



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