アネモネ
椎原さわ
第1話
2019年、春。
先週、春物のコートを着て出かけたのに、今日の格好は真冬に逆戻り。新千歳空港に到着した途端、東京より10度近く低い気温が頬を冷やしていく。
北海道に来たのは2回目。あれは6月だったが、念のためにと持ってきた長袖のカーディガンでは、夜の札幌の街を歩くには寒すぎた。かと思えば、次の日の日中は夏日だった。その気温差と弾丸旅行の疲労もあったのか、帰ってから熱を出して大学の講義を入学以来初めて欠席した。
今回は絶対に体調を崩さないようにと準備に準備を重ねた結果、防寒グッズでスーツケースの半分が埋まってしまった。まあ、今回もまた、金曜の夜に到着し、日曜の昼に新千歳発の便に乗るという弾丸旅行だ。お土産も多く買うつもりはないし、社会人になりお金に余裕ができた今、荷物が増えても前回のように飛行機の搭乗手続きのときに荷物の重量オーバーに怯える必要もない。
もう一つ変わったことといえば、前回は2人で巡った道南の名所を、今回は1人で巡るということだ。今日は千歳市内のホテルに泊まり、観光は明日から。この旅行中、私は涙を流さずに過ごせるだろうか。
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