残る感度

王子よりも小柄な僕は、馬乗りにされ、身動きできなくされると、体操服の上を脱がされる。


…まずい。非常にまずい。


だって、僕はさっきまで、あんな淫夢いんむを見ていたんだ。


感度が上がって…


「ちょっ、ちょっと待っ」

抵抗するが、なかなか抜け出せない。


「♪…うわぁ、綺麗だね。」


上半身裸にされた僕は、上からじっとりと眺められる。


何故か熱を含んでいるように見えるその目は、嬉しそうに笑っている。


つぅっと、鎖骨当たりから、おへそまで綺麗な指が辿る。


「っあ、」


ひくっと動いてしまった体に、恥ずかしさを覚える。


さらに、その指は横に逸れ、脇腹を通過する。


僕は、ビクンッとし、んっと出そうになる声をかろうじて我慢する。


…こいつ…まさか、超能力者とかで頭の中まで見えるなんてことないよな…?


「へぇ、感度がいいんだねぇ♪」

そう言われ、恥ずかしさが増す。それを消し去るように、


「も、もうやめてくだs」と、起き上がろうとすると


「はい、じゃー、背中見せて♪」

逆手に取られ、うまくひっくり返される。


またも、うなじ付近に指を添えられ、


つぅっと、背骨を辿られると、体が、ゾクゾクッとする。


甘い、甘い電流が流れるように。


跳ねそうになる体をなんとか抑える。


指は尾骶びてい骨で止まると、


「はいっ、特に、痣になってる所も無いし、大丈夫だよ!」

というと、あっさりと、どいてくれた。


本当に確認のためだけだったのか。

さっき抵抗してしまったのが悪いくらいだと思った。


なんだ、びっくりした…。


「…わざわざ運んでくれてありがとう。重かったでしょ?」


「いいや、軽かったよー?」

…悪気のないキラキラスマイル。


…筋肉が無いとでも言ってるのか…!


「軽すぎて不安になるくらいだよ?」


「…今回のこともあるし、もっと食べるようにはするよ。


運んでくれたり、怪我まで見てくれたり、ありがとう。」

本当に王子みたいに優しい人だと思った。


…胡散臭いけど。


「クスっ。どういたしまして。」


そう微笑む姿は、窓から白い光がさして絵画から飛び出てきたようだった。

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