同じクラスになる確率 another side
俺は席について、配られたクラスの名簿を見ていた。
まず、園宮
そして、由良 結斗の文字も。
次に、今いるクラスの様子を探る。
…今、観察しても、どうせ誰しも猫を被っているので、分からないことが多いが、
大まかなら分かるだろう。
今後の細々とした人間関係に影響するためなるべく慎重に。
俺は、邪魔さえされなければいいんだ。
事がうまく運べば、それだけで満ち足りるのだ。そして、彼は知らないのだろう。
俺と一緒になる確率が、1/9ではなく、
1/1、
つまり、
100%だということに。
笑みが零れそうになるのを抑える。
…にしても、視線が鬱陶しい。
熱情。憧れ。興味。不審。
チラチラ見るなら、ガン見してくれ。気が散る。
しかし。その中でも、たった一人は、俺の知る彼なら、
俺を見たら、嫌な顔をするんだろうなぁ…。そう思うと、幸福感が溢れてくる。
好きな人に嫌な顔をされて喜ぶなどとマゾヒストではないが、
やはり、逃げる獲物は、追いたくなるものだろう。
だって、君は今まで波風立てずに生きてきたんだ。俺みたいな存在は、嫌になるだろう。
そうして、自分のクラスを知った人達がだんだんと教室に来て、着席していく。
現在8:20、予鈴まであと5分。
楽しい高校生活の幕開けがすぐ目の前にあると思うと、ゾクッとした。
そう、計画された、彼と、同じクラスで。
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