コソコソ another side

周りで、コソコソと声が聞こえる。


いつもの事だ。


ふっと目を合わせ、微笑すれば、相手は赤面する。


それも、いつもの事。


自分の容姿は、ちゃんと分かっている。

容姿、学力、運動神経、性格まで、王子様とまで噂されていることも。


実際、性格は……王子とは程遠いなんて、皆を騙していると自覚はある。が、罪悪感は無い。


勝手に人の理想で塗りたくられた虚像が出来ようと、俺に知ったことではないのだ。




そろそろ熱烈な目線が鬱陶うっとうしくなり、遠くを見やる。



クスッ。



思わず笑いが込み上げる。


……見つけた。


遠くからでもわかる、彼の姿。


彼の姿は、すぐに見つけることができると自負している。




由良 結斗。


俺の、1番、愛おしい人だ。


これから、とっても楽しみだ。


俺はとうにクラスの張り紙の方へ、歩いていった。

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