間宮 翔(まみや かける)、残念なイケメンなり。

「なぁなぁ、知ってるか?王子様の噂。」

問いかけてきたのは、中学生時代からの付き合いである、


間宮 まみや かける


「えっ、もうそんな噂が立ってるの?」

驚きを隠せない僕こと、由良 結人。


「いやぁ、俺もツイッターで見ただけだからなぁ。」

…ネットって怖いな…。


ところで、なぜ僕が驚いたのか。


それは、今日が入学式だからだ。

まだ、顔も見ていないのにも関わらず、そんな噂が立つなんて…。


「最近のネットワークって怖いねぇ…!」

「だよなぁ!どうしよ…間宮 翔って人がイケメンすぎるって人知れず言われていたら…!」


フッと得意の営業スマイルを僕に見せる。

代わりにジト目を向ける。


この男、間宮 翔は、顔だけは良く、

その見た目だけで女子のハートをゲットする。あながち間違いではないのだ。



しかし、性格が残念で、ひねくれている。例えるなら、ひねくれをこじらせた俺様系だ。

…それでもいいっていう女子は、彼にアピールを続ける訳だが。


「さぁて、俺様の目にかなう美女はいるかなぁ?」


ウヒヒと気色悪く笑う。

そんな彼を見て、誰しも欠点はあるんだと、しみじみ思う。

天は万物を与えるわけではないんだと安心する。



_そうして、翔と話しながら高校へと向かう。



…その先に異様なまでの人だかりができているのにも気づかずに。

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