第22話 魔王とレース
ミレイユと二人、道なりにドライブをして辿り着いた先。
そこは、大きな競馬場のようだった。
柵があって、その中を大小様々な馬が走り周っている。
「馬、だな」
「馬じゃな」
それ以外の感想が出てこない。
例に漏れず、まずは『鑑定』をしてみる事にした。
ジャスウェイ♂(??歳)
三冠馬
Lv.800
HP 350000/350000
MP 0/0
こうげき力 119000
しゅび力 110000
ちから 119000
まりょく 0
たいりょく 110000
すばやさ 255500
きようさ 3000
みりょく 300
「ぶっほぅ!?」
俺はまたも吹き出した。
この馬強いってレベルじゃないんだけど!?
お前ならミレイユを守れるだろ!?
馬だから無理か!
ミレイユもステータスを見て、若干引いてるのが分かる。
「ミレイユ、こいつに間違って蹴られたら即死するから、あんまり近寄るなよ?」
「う、うむ、そうしよう」
今も凄まじい速さで走り周ってるわけだが、こんな中に入って一匹倒したら、他の馬から一斉に攻撃されない?
俺のしゅび力だと、数回受けたら、俺死んじゃうよ?
いくらエターナルフォースブリザードソードが強くても、一気に来られたら、何体、いや何馬か倒してる間に倒されてしまう。
柵があるとはいえ、こいつら絶対簡単に突き破ってくる。
あの蟹も予想外な行動してきたからな。
まともに戦って倒せる気がしない、どうするか……。
色々悩んでいたら、ミレイユがじっと見ているのが気になった。
「どうしたんだ?ミレイユ」
「うむ。なんぞ、競うように走っておる馬がおってな。それを見ていたのじゃが……後からあのゲートを通った馬が消えたのじゃ」
へ?どういう事だろう。
俺も気になって見てみた。
すると、奥にあるゲートから二頭が並んで出てきた。
どちらも一進一退で、中々良い勝負だ。
『鑑定』で調べたら、奥の方の黒い馬のすばやさが220200で、手前側の灰色の馬が215000だった。
少し奥の方が速いな。
そのステータス通り、奥の方の黒い馬が先に元の位置まで一周してきた。
すると、遅れてゲートを通った手前側の灰色の馬が、消えた。
「なっ!?」
「どうやら、ここの馬達を倒す方法は、あーやって勝つしか無さそうじゃな?」
確かに、あれなら他の馬の標的にはならない気はする。
だけど……俺のすばやさは55500だ。
この馬達が相手では、勝負にすらならない。
そう考えていたら、袖を引っ張られた。
「ミレイユ?」
「テリー、この車を『鑑定』してみよ」
「この車を?なんでまた……良いけどさ……『鑑定』」
言われるがまま、『鑑定』をしてみた。
ケーニセグ♀(??歳)
オープンカー
Lv.0
HP 655555/655555
MP 0/0
こうげき力 529000
しゅび力 210000
ちから 529000
まりょく 0
たいりょく 210000
すばやさ 555555
きようさ 223000
みりょく 400
「め、♀ぅ!?メスなのこの車!?」
「テリー、見る所はそこではないのじゃ」
ミレイユに呆れられたけど、しょうがないじゃないか。
エターナルフォースブリザードソードの時と違って、ステータスが出たって事は、これ生物扱いなの?
というか、自分で動かないとはいえ、その凄まじいステータスに驚かされた。
この車、凄すぎるよ。
「なぁミレイユ、この車をエターナルフォースブリザードソードで倒したら、レベル上がらないかな?」
こんなに強いんだから、凄まじい経験値もってそうだ。
「無理じゃな。レベルを見てみよ、0じゃぞ。経験値の足しにもならぬぞ」
そう言われて、良く見たら本当に0だった。
でも、すばやさは凄いし、これで勝ってレベルを上げれば良いんだな!
「よし、もう一度車に乗って、あっちに行ってみようミレイユ」
「うむ、任せるぞテリー」
車に乗りながら、奥にあるゲートに着く。
そこには、さっき『鑑定』した、ジャスウェイ♂が居た。
なんでついてきてんの!?
そいつはこっちをみて、ヒヒンと鳴いた。
まるで、この勝負を待ち望んでいたかのように。
俺は、車を馬の横に並ばせる。
馬と車が並ぶ、シュールな光景。
目の前には信号……信号があるのぉ!?
普通、ポールとかそういうのが上がってスタートとか、ねぇ!?
「テリー!青じゃ!!」
「!!」
ミレイユに言われて、アクセルを思いっきり踏み込む!
ジャスウェイより一歩出遅れてしまったが、さすがにすばやさに差がある。
徐々に追いつき、追い越す。
コーナーを曲がり、後ろを走るジャスウェイをミラーで確認する。
その顔は、どこが誇らしげに見えた。
まるで、ミレイユを頼む、そう言っているように見えたのは……俺の勝手な想像だけど……そんな気が、したんだ。
ゲートを先にくぐる。
遅れてジャスウェイがきたが……その姿が、消えた。
少し、感傷に浸っていた俺は、車に乗ったまま黙って入口に戻った。
そこには、さっき消えたはずのジャスウェイが居た。
ヒヒンと鳴いて、またやろうぜっ!みたいな感じでこっちを見てきた。
うおいっ!俺の感傷を返せよ!?
「さぁテリー!どんどん走って勝つのじゃー!!」
なんかミレイユがノリノリだった。
レースにハマったみたいだな、これは。
馬生きてたし、勝っても倒した事にならないんじゃこれ……と思ったら、しっかりとレベルは上がっていた。
なんかどんどん強くなるけど、実感は全然無い。
良いのかな、これで……。
そう思いながらも、俺は今日一日、レースをし続けた。
も、もうおなかいっぱいです……疲れた……。
御剣 照矢 男(18歳)
職業 勇者
Lv.790
HP 890000/890000 成長レベルS+
MP 33000/33000 成長レベルB
こうげき力 95000
しゅび力 90800
ちから 95000 成長レベルSS
まりょく 67000 成長レベルA
たいりょく 90800 成長レベルS+
すばやさ 85500 成長レベルS
きようさ 87000 成長レベルS
みりょく 30
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