だからお前は駄目

 弱音を吐いて迷惑をかけてしまった。


 申し訳なさが、少し心を落ち着かせる。情けないと思いながらも、ありがたかった。


 しかし現状どうにもできん。やはり仕事を失うのは恐ろしいし、自分に何ができるとも思えん。よくやっていると言ってくれるが、所詮俺は無能だ。自尊心は高いくせに何もできない愚者でしかないから、金が途切れるのは、恐ろしい。


 書いてる話が金になったらな。


 そう思うだけ思って、賞レースには参加しない。遂行の作業を考えると腰が引ける。これではプロ作家など、到底無理ではないかと消沈する。何度目かの挫折。未だ、慣れない。


 夢を追うのが鬱屈から逃げ出せない免罪符になっている。

 凡人ではないと言い聞かせながら、くだらない毎日を生きている。


 そんな精神だからこそ何をやっても駄目なのだと理解していながら治療できないのは、俺の怠惰がもはや全身に行き渡り血肉となって動いているからに他ならない。嘘のような虚無と縋るような生き方を今更矯正できるはずなく、虚に命を保っているのだ。


 その、行き着く先は……

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