小さな鼠

 ストレス過多だと言われた。

 死が頭を過るのではないか。産業医に掛かるのがいいだろうと、無責任な字面で突きつけられた。

 馬鹿馬鹿しい。話して何になる。どうせ何も解決しないのだ。せいぜい精神科を紹介するくらいだし、その精神科だって、薬を出して「お大事に」と述べるだけではないか。解決などするものか。してたまるか。二十余年向かい合ってきた自死への恐れと羨望を消されてたまるか。そんなに治したきゃ金を寄越せ。職を寄越せ。真っ当な、極めて人間的な生活を寄越してみろ。それもできないくせに偉そうな文体で哀れむな。将来への不安が、未来への恐怖が、どうして医者などに払拭できようか。地位も名誉も金もある人間が、地に這う人間を救えるものか!


 苛々が募る。同時に、憐憫が顔を出す。

 なぁ、助けてくれよ。誰か。誰か。

 

 差し伸ばされた手を払い、泣言。

 羞恥。滑稽。愚物。俗人……

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