新米テイマーは今日も身を挺してテイムしたビーストを守る

空風鈴

第1話 私は世界一のテイマーになる女。

私の名はセシル。

セシル・ライナロック。

いずれ世界一のテイマーになる女。


幼いころ、村の近くに現れて家畜を襲うようになった狼の群れに対し、群れのボスとの話し合いで事態を収めた私。


昔から動物好きで、動物たちと(なんとなく)心を通わせることができる(と思っている)私がテイマーの道を選ぶのに時間はかからなかった。


世は魔王が支配し魔物が跋扈する暗黒時代。


魔物を退け魔王を倒さんと数多の冒険者が旅に出ていたわ。


だが、ただの村人が凶悪な魔物に太刀打ちできるはずがない。


そこで、教会の司祭たちが長い時間を費やし、その叡智を結集して編み出したのが『ジョブシステム』なの。


『ジョブシステム』には様々な戦闘職があり、戦士であれば体力や力、回復魔法を使う僧侶などであれば神への信仰心、魔法使いであれば攻撃魔法などを扱うための知力など、戦闘経験を重ねる度に得意分野の能力値がグングン上がるという仕組み。


それから、魔物との戦闘に欠かせないのが『スキル』よ。


強力な物理攻撃や魔法など、ジョブに就いていなければ扱うことができないスキル。


過酷な冒険を生き抜く上で必須ともいえるスキルは、能力値が一定の水準に達したり、特定の経験や条件をクリアしたりすることによって獲得できるわ。


このようにして、攻撃・防御・回復などそれぞれの役割に特化したジョブを持つメンバーがパーティを組むことによって、やっと打倒魔王の旅に出発することができるの。


そんな私は、今日も一流のテイマーになるため日々の研鑽を欠かさない。


犬・猿・キジの御三家と寝食を共にするなど当たり前。


自らの心身を鍛えると同時に、動物たちにも厳しい訓練を課す。


最近は訓練のあまりの過酷さに、みんなからちょっと嫌われ気味なの。


でも、気にしてはいられない。


だって、小さいころに約束したもの。


村を襲おうとしていた狼のボスと…。

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