世界を救うただ一つの方法
@lmv314
プロローグ1
少年は夢を見ていた。
ある世界の未来へと続く歴史の流れを。
西暦 2020 年 8 月
日本の政府直轄の研究機関が、核に変わる安全でクリーンなエネルギーとして宇宙の構成要素の一つであるダークエネルギーの抽出実験を行った。
しかし実験は失敗、エネルギーの暴走により、研究所を中心とする半径 100k mが消滅。多くの町が地図上から姿を消し、日本地図が大きく書き換えられた。連日多くの知識人や遺族が責任の所在や賠償問題でテレビを騒がせた。だが、時とともに政治家の汚職や芸能人のスキャンダル、世界各地での紛争等のニュースで、これまでの多くの事件と同じように、人々の記憶からこの実験は薄れていった。
……誰一人気づくことは出来なかった。この実験によって次元の壁が一部崩壊し、人類が絶滅する引き金となったことを……。
西暦 2185 年 8 月
この日、一つの町が消滅した。国連軍は直ちに調査隊を派遣したが、現地に到着直前に消息を絶った。事態を重く見た国連は、消息を絶った調査隊の捜索部隊と新たに編成した調査隊および護衛部隊を派遣した。
3 日後、派遣した部隊全てが無事に帰投したが、持ち帰られたデータはにわかに信じられないものだった。
データの内容は、まるで出来の悪い三流 SF 映画を見せられているようだった。漆黒の人型を中心に九つの影のようなものが逃げ惑う人々を蹂躙していた。ある影は炎を別の影は氷を操り、それぞれ影ごとに操るものが異なっていた。護衛部隊による攻撃も攻撃も効果がなく、成す術なくいとも簡単に殺されていた。調査隊員達も危険を感じ、脱出しようとしたが、中央の人型が瞬時に目の前に現れた。応戦虚しく断末魔の叫びが木霊し、全滅したところでデータは途切れた。また、調査隊からの報告でも、現場の状況がほぼデータと一致していたことにより、国連は緊急事態宣言を発令し、今回の事態の中心である人型を特別危険生命体一号( EDL - 01 )とし、以降確認できている 9 体を EDL - 02 ~ EDL - 09 と認定した 。
しかし、国連は事態の混乱を防ぐ為、全人類に対し公表せず、秘密裏に事態の収拾図ろうとした。だが、国連の思惑とは裏腹に事態は収束せず拡大していった。その為、マスコミにより情報が拡散され、人々は混乱し、略奪や暴行新興宗教の乱立により、 EDL だけではなく、自身の手で首を絞め続けていくことになり衰退の一途を辿っていくこととなった。
いつしか残された人々は EDL のことを魔人、魔物と呼ぶようになり、いつ終わるとも知れない暴虐の夜を息を潜めて生きていくしかなかった。
西暦 2186 年 1 月
研究者や科学者達の命がけの調査で魔人に対抗できる因子が発見された。さらに調査を進めると、その因子によって異能と呼ばれる力を発現できるのは、 15 歳から 19 歳までの一部の子供のみで 20 歳以降は失われていくというものだった。また、因子を武器に付与することも出来ることも判明した。
しかし、人類が反撃の狼煙を揚げることは出来なかった。ほとんどの残された人々に戦う意志も力もなく、魔人の力はすでに人類が対抗できる力を超えており、傷つけることさえ出来なくなっていた。
西暦 2190 年
人類の 80 パーセントが失われ、残された人々は、地中深くにシェルターを作り、いつ襲われるかもしれない恐怖と戦いながら生きながらえていた。多くの人達が諦め絶望していた。そんな中、希望を捨てず研究を続けていた研究者と科学者達が魔人討伐を可能とする理論を完成させた。
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