破滅の手前に

頭の中が

めちゃくちゃに壊れるとしても

この瞬間に

満足を得たい


そんな願望を

誰が否定できるだろう


一秒おきの苦痛

絶望の止むことのない波濤が

彼を押し包んでいる


救いたい

助けたい

しかし何もできない


彼が

破滅の手前の

安らぎを求めることは

きっと間違っている


でも僕には

ほんの一欠片の

安らぎも

楽しみも

彼に与えることはできない


救えない

助けられない

手を差し伸べることも

励ますことも

彼には意味を持たない


僕の無力感は

何も生まない


彼の切実な願いの前では

僕にできることは

虚しいほど

何もない

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