第52話 護衛騎士増員

 明日、ペネロペ王姉と魔導士ラルーシアは王宮に行く事に成った。

 舞踏会の事後処理を相談しに行くのだ。



「まだドニロさんとカシオくんが帰って来ていませんね。明日は護衛騎士がいませんが、どう致しましょうか?」


「ふむ、チヨに【転移門】のゲートで送り迎えして貰おうかのぅ。直接この城から王宮にゲートを繋げば人目に付かぬじゃろうて」


「はい、畏まりました」



「それでもやっぱり、この城には護衛騎士が足りませんね。貴族が5人住んでいるのですから、本来ならそれぞれに専属護衛騎士が要るものなのですよ。あと3人は雇わなければなりません」

 と、ペネロペ王妃が言った。


「今迄はありませんでしたけど、それぞれが同時刻に別の所へ出かけると護衛騎士が足りませんものね」

 と、ヴィクトリア王太后も付け加える。



「ラルーシア様、その事に付いても国王に相談しましょうね」


「はい、ペネロペ様」




 次の日、チヨの【転移門】で2人が王宮に出かけた。

 護衛騎士の事を国王に相談したところ、キョウヤとルコとミヤイとタビチが、取り敢えずシャンボール城に配置される事になった。

 帝国から押し付けられた勇者と魔法少女と旧フランク王国人騎士の、厄介払いを兼ねた人事だった。


 しかし、護衛騎士が6人なったから、それぞれの外出時の体裁は確保できそうだ。


「そもそも、この城はダンジョン核により守られてるから、人族の護衛騎士など要らぬのじゃ。外出時の体裁が保たれればいいのだからのぅ。6人でも十分じゃろう」


「まぁ、必要になったら、また雇いましょうね」


 と、ペネロペ王妃がのんびりと言った。




 千代がラルーシアからの念話通信を受けて、2つのお城の間に帰りの【転移門】ゲートを繋げると、新たな騎士4人も一緒にシャンボール城に帰って来た。

 勿論、英雄に成ったドニロとカシオも一緒だ。

 2人は千代と同格の下級貴族の【騎士爵】を叙爵拝命する事が内定したらしい。

 いずれ謁見の間に呼ばれ、貴族達が居並ぶ場で公式に褒賞されるという事だ。



「チヨ、俺も貴族になったんだぜ。もっと活躍して良い所を沢山見せるからな」


「おめでとう、カシオくん。でもあまり無理をしないでね」


「あぁ、チヨの為に『命大事に』で頑張るからな」


「私の為に頑張らなくてもいいですから……『命大事に』は忘れないでね」


「あぁ、りょうか~い」



「んにゃ、カシオくん。ワシらは引き続きこの城の護衛騎士なのじゃから、言葉遣いに気を付けるのじゃ」


「分かりました、リーダー。言葉遣いに気を付けま~す」


「頼むよ、本当にもぅ」



「でも、チヨと同じ騎士爵に成ったから、もう釣り合いは取れてますよね?」


「そうねカシオ君、同じ騎士爵だから、プライベートの時は今迄通りでも大丈夫よ」


「ほら、リーダー。チヨもこう言ってますからね。公私の区別をチャンと付けて下さいね」


「それは、カシオ君の事なんじゃが……お互いに気を付ける事にするとしようのぅ」


「は~い」


 カシオは数日間、テンションアゲアゲであった。キョウヤという後輩もできて、勇者として指導に当たる事にもなった。





「ジョセフィーヌ様ぁ、ア~シは魔法少女に変身できるように成りたいの~?」


 翌日朝の稽古時に、シャンボール城の見習い護衛騎士に成ったルコが、小首を傾げて千代にねだって来た。



「え!? 何で私にそれを聞くのですか?」


「ジョセフィーヌ様は迎賓館の化粧室で魔法少女に変身したでしょう? ア~シはまだ魔法少女に変身できないからぁ」


「まぁ、見てたのね!」



「オレッチも巨熊に変身するジャンヌ様を見たんだ、凄かったな~!」


「それも見てしまったのじゃな! 他の者は見てないのか?」


「「「「「はい」」」」」



「ふむ、護衛騎士達は全員集合じゃ~! ここに纏まってくっ付くのじゃ~!」


「「「「「はい」」」」」



「変身の事を『空のぅ』状態になるのじゃあああ! こやつらに纏めて【マインドブラスト】!(混乱)」


 ピッキィイイイイイイイイイインッ!


「「「「「アグゥウウウウウッ!」」」」」



「お主ら! もう誰が何に変身したか、分からないであろう?」


「「「「「は~い?」」」」」



「これでオッケィじゃ!」


「……ホントにそうでしょうか?」



「後はスットボケルばかりじゃ」


「そんなんで大丈夫でしょうか?」



「大丈夫じゃ。『空のぅ』と言うのは、そう言うもんじゃ」


(『空のぅ』とは、過去の記憶が改変されてる事に、ある日突然気付いてしまう現象)


「はぁ……」



「そうそう、それと昨日言うのを忘れておったが、ジャンヌとチヨは六皇子との婚約が内定したのじゃった」


「「えっ!」」



「チヨは、ペネロペ王妃の養子として王族に成り、ラフラン王家の娘として帝国の皇子と結婚する事に成るのじゃ」


「はぁああ?」



「チヨと俺は義理の姉妹に成るのですか?」


「そうじゃ、義理の姉妹で帝国の皇子に揃って嫁入りじゃ!」


「「ぇえええっ!」」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る