第3話 転生したらゴーレムだった件
千代が転移した異世界での、数百年も昔の出来事……。
目を覚ますと
「出来ました、アダマンタイトゴーレムの『アダモちゃん』です!」
突然に可愛い少女に、そう紹介されました。
「早っ! それにネーミング! 自動車会社開発の自動二足歩行型ロボットですかっ!」
20歳ぐらいのリクルートスーツ姿の女性に突っ込みを入れられました。
目の前にある姿見の鏡の中に、女性アンドロイドの様なセクシーゴーレムが立っています。
薄緑色がかったプラチナシルバーのボディが
「以前、サンクトガレン城をオークの群れが襲いましたが、その時倒したオークキングの魔石をアダモちゃんの魔核として使ってますのよ」
「オークキングの魔石なら十分でしょう。輸送馬車の護衛ができる様にプログラミングした御嬢様の命令を与えてください」
「は~い。 アダモちゃん、ケーキを運ぶ馬車を守ってね!」
可愛い御嬢様は首を可愛く傾けて、ニッコリと私に微笑みました。
キュンッ!
『は~い、御嬢様の仰せの通りに致しますぅ』
嬉しくて返事をしましたが、今の私の声って何か
「命令って、それだけかいっ! しかもアダモちゃん喋ってるし! 魅了されてるし! 自律思考行動型ゴーレムですかっ!」
「サッチャンの言葉遣い、メッ! ですよ」
「……はい」
『メッ!』
私も御嬢様の真似をして、サッチャンに言いました。
「アダモには言われたないわっ!」
私はここに来る少し前に、女神様にお願いしたのでした。
「簡単に逝かない、敵の攻撃に削られない硬い体にしてください。 ロボットでも科学兵器でもいいんです。人で無くて全然オッケーです。フンス!」
私はロボットアニメが大好きだった、萌えていた。
主人公よりむしろ鋼鉄のボディを愛していた。
「はぁああ? 言ってる意味が全く分かりませんっ!」
「異世界一硬くしてくださいっ!」
「そ、そう。 ……ちょうどいい体があるわ。でもやり直せないけど本当にいいのね?」
「その体って、素手で巡洋艦を壊せますか?」
「えっ、たぶんだけど、……空母もイケルと思うわ、存在すればね、その世界にはまだ無いのだけど。 現状存在する1番硬いゴーレムだから、それで妥協してね」
「ヤッタァッ、暴れまくれますね」
「え、えぇ。でも悪い事はしないでね、見過ごす事が出来なければ強制介入しますからね」
「は~い。正義の鉄拳で悪を懲らしめま~す!」
「ぅうん、行動する前によく考えてね。行ってらっしゃい」
「ありがとうございましたぁぁぁっ!」
「元気すぎて不安だわ!」
可愛い女神に心配された。
宰相のサチャーシャ様に言われました。
「アダモにマスクとカツラとお洋服をあげましょう」
『アダモは今のままで大丈夫ですぅ』
「目立つから却下です。貴方はマリエル御嬢様の護衛ゴーレムなのですから、目立っては行けません」
『は~い』
「よろしい、いい子にしてれば御褒美を上げますから、私の言う通りにするのですよ」
『……』
「戦闘用のグローブとブーツとアイアンクローを上げるつもりです」
『はい! 言う通りにします! サチコ様』
「……サチャーシャ様とお呼びなさい」
『はい、サチコ様』
「……はぁ。マリエル様の作ったゴーレムは常識外なのですね」
私は御嬢様の護衛ゴーレムとして、
アリタリカのブラッチャノ・マルティニャノ地方のダンジョンでヘラクレスビートルを軽く倒しました。
ヨトゥンヘイムのノスロンドのダンジョンでクイーンデススパイダーを倒しました。
タイガーケイブの拠点を襲って来た賊を軽く捻りました。
待ち伏せしていたノスロンド兵士を千人ほど拘束しました。
領主アッコロカムイをお嬢様と倒しました。
やがて、御嬢様が世界を統一しました。
私は御嬢様の護衛として一緒に世界を巡り、それからも沢山活躍しました。
時は流れます。
命ある人は居なくなりますが、私は朽ちる事がありませんでした。
ただ、マリエル御嬢様の魔力が私の原動力だったので、主人を失った私は動けなく成ったのです。
どれだけ時が経ったのでしょうか?
ドッブゥゥゥンッ!
と、川に女性が落ちてきました。
川底で私の体に触れた女性から、その時魔力を注がれたのです。
とても豊かで温かい魔力でした。
私が再起動復帰して川から上がると、彼女は既に立ち去った後でした。
私は魔力を注いでくれた新たな主人を追いかけます。
再び停止してしまわないように。
【後書】
『チートなんて簡単にあげないんだから』
と言う、前作の72話と内容が被っています。
前作を読んでなくても問題無いと思いますが、読んで下さればとても嬉しいです。
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