第129話ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、幼馴染で恋人なので、ずっと一緒に居たいのです。その1
中間試験の結果発表から数日が経ったのだが、美月はとても上機嫌なのである。7組教室内では、最近ずっと不機嫌だった美月が、上機嫌に思い出し笑いをしている様子を見て、何事かと色々な憶測が飛び交うのである。
「み、美月……機嫌がよさそうだけど何かあったのかい?」
政宗が美月にいつも通り、声をかけるのである。ちなみに、本日政宗がこのセリフを言うのは、7回目である。最後の授業の休憩時間なので、もう学校が終わると上機嫌な美月だったのだが、政宗がそう話しかけてきて、浩二がこちらに来たことで、ムッとなる美月なのである。
「別に……早く学校が終わって欲しいだけだよ」
「そ…そうなのか…もう終わりだね…美月」
美月がこのセリフを言うのも7回目なのである。政宗も浩二もてっきり、美月は落ち込んでいるものだと思っていたのだが、テストの結果が発表された日の午後は、心ここにあらずと言う感じで、落ち込んでいたのに、次の日は、上機嫌な美月に戸惑うイケメン二人だったのである。
そして、数日たった今でも、上機嫌な美月に戸惑い、何があったのかが気になる二人だが、美月が二人と話すことはないのである。
そう、相も変わらず、美月は基本的に浩二を無視していて、政宗にはそっけない返事だけを返す日々を送っているのである。そして、本日も学校が終わると美月は上機嫌に教室からすぐに出て、家の近くの公園前で郁人を待つのが美月の日課なのである。
「い、郁人!!」
「美月……今日も待っていてくれたのか? ありがとう美月…美月は可愛いな」
美月は、郁人を見つけて走って駆け寄ると、自分の頭を撫でてくれて笑顔でそう言ってくれる郁人にデレデレな美月なのである。
「じゃあ、早く帰って俺の部屋で遊ぼうな…美月」
「う、うん!! 早く帰ろうよ!! 郁人」
頭を撫でられて嬉しそうな美月の手を握ってそう言う郁人に満面な笑みでそう返す美月なのである。
そして、美月は郁人の部屋に訪れると、いつも通りベッドにダイブする美月なのである。
「美月、じゃあ、今日もアニメでも見ようか」
「うん!!」
郁人は、床に座ってベッドに寄りかかって、美月を見ながらそう言うと、美月は上機嫌に枕を抱き枕にして郁人の方を見ながらそう返事をするのである。
アニメが始まっても、美月はチラチラと郁人を見ては、枕をギュっと抱きしめるのである。そして、美月は郁人の背中を人差し指で突っ突いてちょっかいを出すのである。
「どうした? 美月?」
「な、なんでもないよ」
「そうか」
美月の方に振り向いて、疑問顔の郁人に、枕で顔を半分隠してそう言う美月に、微笑む郁人はまた、テレビの方を見るのである。
「……い、郁人」
「ん? 何か用か?」
「ううん…なんでもないよ」
すぐに美月は郁人に声をかけるが、振り向いた郁人の顔を見て、ニヤニヤの顔を枕で隠してそう言う美月に、全くと呆れながらも笑う郁人なのである。
「美月は可愛いな」
「……ううう~」
ジッと美月の方を見て微笑む郁人にそう言われて、顔を真っ赤にしてしまう美月は、チラリと郁人の方を見て、目が合うとすぐに枕で顔を隠してしまうのである。
(えへへへ、最近郁人は優しいよ…何か良いことでもあったのかな?)
中間試験の結果が発表されて、郁人に勝負に負けたことを物凄く落ち込んでいた美月だが、その後、郁人が優しくしてくれるので、嬉しくなって、結果的に勝負の事などどうでもよくなってしまった美月なのである。
また、テレビの方を見てアニメを見ている郁人の後姿をジッと見つめる美月は、郁人にかまって欲しくて、背中をちょんちょん突っ突く美月に、気がついて美月の方に振り向く郁人から、枕で顔を隠して知らんぷりする美月なのである。
「美月バレてるからな…全く、しょうがない奴だな」
「し、知らないよ…私じゃないよ」
「じゃあ、美月の事見てないとな」
そう言ってジッと美月を見てくる郁人に、プイっとそっぽを向く美月なのである。そして、チラリと郁人の方を見ると、ジッとこちらを見ている郁人とばっちり目が合う美月は慌てて、顔を枕で隠して、見てないよアピールをするのである。
「…今こっち見ただろ…美月」
「み、見てないよ」
「そうか…じゃあ、気のせいだな」
「うん…郁人の気のせいだよ」
そう郁人が言うので、安心して、美月は枕をどかして、郁人の方を見ると、ばっちり美月の方を見ている郁人と目が合ってしまうのである。
「い、郁人なんで私の方見てるの!? あ、アニメ見ようよ!!」
「美月が可愛いからな…じゃあ、アニメ見るか」
郁人が美月を見つめながらそう言うので、美月は顔をやっぱり枕で隠してしまうのである。そして、郁人は再度テレビの方を見るので、美月は真っ赤な顔で、郁人の後姿を見つめるのである。
「……郁人」
「どうした? 美月」
「よ、呼んでみただけだよ」
「……美月」
「え? 何、郁人?」
「呼んでみただけだ」
アニメを見ている郁人にかまって欲しくて声をかける美月に、そう言って仕返ししてイタズラに成功して喜んでいる子供のような表情で笑う郁人に、顔を赤くして照れる美月は、布団を被って、隠れてしまうのである。
「美月……寝るのか? 全く…美月は帰る時間になったら起こしてやるな…お休み、美月」
「……」
照れる美月は、郁人にそう言われて、目を瞑ると幸せな気分で郁人のベッドで時間を過ごすのであった。
優しい郁人のせいで、美月は郁人にかまって欲しくなってしまうのである。ますます、郁人と一緒に居るのが楽しい美月は、学校の時間がさらに苦痛に感じるのである。そのため、本日帰る時にボソッと美月は郁人にこう言ってしまうのであった。
「学校でも、郁人と会いたいよ」
「……美月…そうか…美月もそう思っていてくれたのか」
郁人にそう言われて、郁人も私に会いたいと思っていてくれたのかと嬉しくなる美月なのである。
「大丈夫だ……美月…俺にいい考えがある…そのために、中間テストで美月と勝負したんだからな」
「え? 郁人どういうことなの!?」
そう美月にドヤ顔で言う郁人に、美月は驚いた表情で、郁人に疑問を投げかけると、郁人は自信満々にある作戦を美月に話すのであった。
「……郁人…郁人天才だよ!!」
その作戦を聞いて美月は、郁人を褒めて、ノリノリでその作戦に乗ることにしたのであった。しかし、この作戦が後に大きな問題につながるとは今の二人は知る由もないのであった。
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