転生愚か者の異世界リベンジ

とら

第1話 もう何もいらない

【ロック・❖前世の記憶❖】

{封印解除条件・___}

【アンロック・命脈】【感覚器官を解放します】【アンロック・思考】

{スキル複合により【人間生活】の開発に成功}

【アンロック・魔力行使】

{【魔力行使】のアンロックにより魔力の所持が許可されました}

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 今自分がどういった状況にあるかなどさほど重要でもない。

 今自分の中に何かがいて脳を直接刺激してくる。その声が俺の中を反響してゆくにつれて意識の覚醒を悟った。

 

 ここは何処なんだろう


 感覚をという概念を失っていた。

 ぼんやりと見えてくる淡い光が自分を現実世界へと誘った。

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「青・・・」

 仰向けになっている自分の存在を把握する。背中がちくちくするし腕がかゆいな。俺は気力を振りしっぼって腹筋に力を入れむくりと立ち上がる。


【アンロック・筋力】

{運動が可能になりました}

 またあの声か

 そこは草木が支配する一つの森だった。幸い日が昇っているため道は見える用になっていた。頭に当たりそうな枝を手で払いながら進んでゆく。

 相変わらず自分がどういった存在なのかがあまり理解出来ない。

 俺の名前は『七八ななはち』という名前だったこと以外全く思い出せない。自分のことはまた後で思い出すとして身だしなみは何故か学生服のような物で・・・学生服って何だ?

 何故俺はこの衣服の名前を知っているんだ。

・・・!!


「いっっっ!!」

 急に割れるような頭痛が脳の内側からよく響く雑音ともに俺を襲った。








『なー君は叶えたい夢とかある?』・

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 ・

『卒業するまであと一年かぁ・・・あはは、長いようで短かいんだね』

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 ・

『なー君早くー』

『待てよ___・・・』

 自分の前を走る彼女こそ俺の生きる目的であり親愛なる人物だ。

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 ・

『悪い___、俺ちょっとトイレ!』

 俺はその時用を足すために近くの公園のトイレに走って行った。

『早く帰ってきてね!』

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 ・

 トイレから戻ると彼女の姿は何処にもなかった。

 携帯にかけてみても誰も出ない。

 今日は花火大会で年に一度だけ開かれるビッグイベントだったため彼女はそれをとても楽しみにしていた。そんな彼女が急に俺を置いて何処かに行くというのはとても考えにくかった。

 もしかしてと思い花火大会が行われる予定の現地を目指したがその日、彼女に出会うことは出来なかった。

 後日、俺は笑顔が素敵な彼女に二度と会うことが出来ないという残酷な事実をテレビの画面越しに告げられた。


『先日土曜日に地区大花火大会が行われた__県__市の___川で女子高生の水死体が発見されました。被害者は___高校に通う二年生〈朝霧 美沙〉さんであることがわかりました。』

 その瞬間自分以外の世界が色を失った。


『親御さんの話によるとご友人と花火大会に行っていた事がわかりました。彼女は体がとても弱く____』

俺が目を離していなければ彼女は死ななかったかもしれない。いや、絶対に死なせなどしなかったはずだ。俺の行動が彼女を死なせた。


『______俺・・・が』

涙と鼻水が自分の顔を埋め尽くした。呼吸が荒くなって肺が痙攣し始めたが涙も鼻水も止まってはくれない。


 自分が殺したんだ・・・


他の誰でも無い自分だ・・・


彼女は自分に生き方を示してくれた。俺は彼女を生きる目的にした。

両親を失い生き方を見失った自分に手を差しのばしてくれた彼女を自分は殺したんだ。

その日は自分を悔やみ続け疲れて寝た。

次の日、いつも通り彼女朝霧美沙の家の前を通り学校へ足を運んだ。もう何のために学校へ勉強をしに行わからない。前を向いて歩くことが出来ない。横断歩道のボタンの前に立ち止まりイヤホンを付けて自分と美沙が好きだ歌手の歌以外の全ての音を遮断した。

 そろそろ青になっただろう。

下を向いたまま横断歩道を横断しようとした瞬間、トラックの大きなクラクションを最後に俺は気を失った。

ボタンを押し忘れていることに気付かなかった愚かな自分

痛みはあるが気にならない。心にあいた大きな風穴が痛みを紛らわす。


______ひかれたんだな俺・・・ざまあねえな。少し寒すぎやしないか?こんなもんか・・・

誰かが俺を呼んでるみたいだが俺としてはこのまま死ねた方が楽だな。


『死にたくなった時こそ本気で生きなきゃ!!』

この言葉は俺が初めて美沙に怒られた時の言葉だ。美沙は心臓に生まれつき病気を持っていてそう長くは生きられないと医者に死の宣告をされているにも関わらず生きる希望を捨てずに俺に命の尊さを教えてくれた。


_____そうか・・・生きなきゃ!

_____あの子に合わす顔がねぇよ!!

_____そして俺は死んだ


死にたくなんか!無い!!








【ロック・❖前世の記憶❖】

{封印解除条件・不明}

〈〉

〈〉

〈〉


「はっ!!」

今見ていたのがずっと引っかかっていた謎の正体か・・・

着ていた学生服の正体どころか全てを鮮明に覚えている。


【アンロック・❖目に焼き付ける❖】

{一度見聞きした物事を絶対に忘れない}{エキストラスキル}


聞こえてきた神の声(仮)で全てを悟った。


「なるほど・・・神は俺にチャンスをくれたんだな。」


おそらく異世界であるこの場で後悔の無いよう生きていく・・・これが俺のニューメインミッションだ!!


【アンロック・ヘルパー】

{心を通してヘルパーと会話してください}{❖転生者特典❖}


ヘルパー?

【はい】


「わっ!」

なるほどこりゃありがたい、新生活にマニュアルあ必要だよな


異世界でやり直すリベンジマッチ___。そのためには・・・




「俺自身が強くならなきゃな」




〈続〉















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