本を書け

ホワイト シュシュ

第一話 本を書け

「人は何のために生きている。仲良くするためだ。仲良くするためにオリンピックがあるような気がするぞ」


 本野颯人ほんの はやとは、高一になったばかりで、本を作っている。

 スポーツも大好きで元気な学級委員だ。


「そういえば、去年の今ごろに、オリンピックがありました」


 朝礼で、校長先生が、オリンピックの話をし始めた。


「今年の夏は、今までの夏より涼しい方です。沢山運動し、健康な体を作りましょう。それでは、いい夏休みにしましょう」


 颯人は、思い付いた。


「そうだ! 次の本のテーマはオリンピックにしよう」


 颯人は走って家に帰り、早速物語を書き始めた。


「聖火ランナーはこうで、ラグビーはこうだったけな。あ、少し挿絵を加えないと」


 颯人は二日もかけてこの本を書き上げた。


「よし、これで完成だ」


「後は、父さんに本を見せてOKを出して貰うだけさ」


 丁度、父さんが帰って来た。


「父さん。完成したよ! 新しい物語。題名は、『次もがんばれオリンピック』なんだ」


「これはね、これはね。見たまんまに少しこうだったらいいなと言うのを加えた物語なんだ」


「む? これはいいと思うな。父さんが今まで颯人になかった力だと思うんだ。颯人はいつも現実から離れて考えた物語だった。だが、今回のは、現実から物語を考え、その現実の中に、こうだったらいいなというのを加えたのだから、これは新しい作り方だと思うぞ」


「父さん」


「これは売れるだろう。早速出してみよう」


 父さんの考えている通りに、この本は、一日でも一万冊も売れて、全て売り切れになってしまった。

 クラスの中でも、次のを出してと言う声が沢山聞こえて来る。

 颯人はどんどん書いて行き、次の話が完結したのは、二年後だった。

 この本は、海外でも売れて、何と家族で夢の海外旅行に行けたのであった。


 これで終わりと思ったときに、颯人の書いた物語をゲームにしていいですかと言う話が来ていた。

 颯人は驚き、喜んだ。


「父さん、これやってみたい」


 すると、本屋さんは、その話を聞き、本屋さんが初めてのお客様だと言う設定で渡してくれたんだ。


「早速やってみよう」


 と、ボタンを押してみると、


「うっ。眩しい!」


 機械が光り始めたのである。

 おそるおそる目を開けてみると、そこはゲームの中であった。



 <続く>


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