神還師2 ~魑魅魍魎が見える記者の一族と、それを副業にする一族と、他レギュラーの皆様~
秀中道夫
序章
――私の知り合いの
そもそも榊守は自身が神還師とも思っていなかったのであろう。神還師だろうという認識は、その能力を羨ましがった、神楽親子や藤本由美たちによって作られた偶像に過ぎないかもしれない。
ただし、榊の能力はそれだけではなく、対極である
さらにいえば、榊は4年前、彼は自分自身を神還師ではなく対極の魔封師のような存在を示していた。
4年という歳月で榊守が自身の存在をこうも大きく変化させたのは、記憶をいじろうとした佐山の存在も大きく関わっているのであろう。佐山の存在も謎の部分が多く、見守っているのかその割に暴走を許しているような、常識的な考え方ではわからない部分が多い。
ただ私自身は記憶の改竄という高度な技術なんかどうでもよく、
榊守が仕来りの
仕来りの禁忌――それは、神還師が魔封師を名乗ることあるいはその逆の行為を世間は良しとしないこと。
私が神還師や魔封師について古文書やオカルト文献を調べた限りでは、神還師または魔封師が自身をどちらかに身を委ねた場合は一生その役を全うしなければならないと言う明文化されていない暗黙の了解が存在するようだ。
その理由はかなり複雑なので今の私の言葉からは割愛するが、土地神を相手にする以上、神の扱いが軸を移してでも生かし続ける神還師と、神を殺す場合がある魔封師という正反対の存在は、どちらとも名乗ること自体、神に示しが付かなくなる。
お互いが対極にいる神還師と魔封師を榊守は平然と行き来すること。それは無知だけが理由とも限らない。では榊守は魔封師なのか?神還師なのか?その結論は祖母の死によって榊自身が自発的かつ運命的に直面することになる、それが今回の第二書の話となる。
舞台は東里市を離れて、四国のある小さな町が舞台となる。そこには榊の実家があり、幼少の榊がある事故を受けるきっかけの場所でもある。
時は第一書の最後、
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