第27話詩のみを人の証として
孤独を埋めないように、あたたかなものを退けて、極北に住まうあなたを訪ねて、氷海へと漕ぎ出したかった。隔たった大陸から吹く風はなまあたたかく、魚群はいつしか無謬の情愛となって私に群がるけれど、その一尾一尾を屠って食う日々を送るうち、いつしか心は研ぎ澄まされ、刃となって無貌の獣のように氷の大地を駆ける。解き放たれたように飛ぶ鳥たちに名前はない。私もまた生まれたときの名を捨てて、もはや人ならざるものとして、詩だけを胸に櫂を漕ぐ。
ココア共和国2022年10月落選作
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