第22話「あい」
だれもかもみにくいね、息も絶えだえに水中に沈んでいけばいい、そうして都にたどり着いたなら、うつくしい乙姫さまが迎えてくださる。交わる体の中にも海はある。そこが空っぽになったらなら、言葉だけをつめこんで、ぎゅうぎゅうになるまで「あい」で満たして、やがて「いな」へと変わってゆく単語の配列を眺めるゆとりもなく、衝動のあふれるままに「あい」を分かち合って、欺瞞だね、嘘だらけの二文字だね、「あい」なんだもの、しょうがない。くらげになればいい。消えぎえになってゆく体、透けてゆくあなたの指先、そのどれもが海へとかえるとき、海神の奥底にマリンスノウは降りしきる。
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