第16話アレクサンダー視点

「俺は卑怯者ではない!

 俺は売国奴ではない!

 王家の意思をおもんばかっただけだ!」


「うりゃああああ!」


「なにをする?!

 いまさら役立たずの邪魔者に味方するか!」


「やかましいわ!

 俺は、俺は卑怯者でも売国奴でもないわ!

 味方を背中から襲うなど聞いておらんわ!

 この種豚が!」


 醜い事だ!

 裏切者の卑怯者同士が殺しあっている。

 今更絶対に許さないが、ここでそれを言ってしまったら、卑怯者どもが命惜しさに一致団結してしまう。

 だからこいつらは同士討ちさせておく。

 問題はイヴリン王妹だ!


「売国奴は殺し合わせておく。

 生き残った奴の話だけ聞けばいいい。

 それよりも先にしなければならに事がある。

 己の劣情を満たすために、味方を背後から襲わせたイヴリン王妹だ!

 イヴリン王妹を放置しておくと、今度は我らが背後から襲われるぞ。

 そんな状態で戦えるのか?

 戦えるはずがない!

 それでもいいのか?

 いいはずがない!

 国のため、国のために最前線で戦っている味方のため、イヴリン王妹を討つ!」


「「「「「おう!」」」」」


 私は急いで部隊を再編制した。

 最前線を放棄することになるが、今は仕方がない。

 部隊の再編制を終える頃には、ジュリアンは裏切者たちに半殺しにされていた。

 

「ジュリアンを渡してもらおう。

 お前たちはここで敵を押し止めろ。

 死んでも押し止めろ。

 逃げたら実家を滅ぼしてでも報復する。

 国を逃げても地の果てまで追いかけて殺す!

 それと、いつ味方を背後から襲うかも分からない者とは一緒には戦えん!

 一度味方を背後から襲った売国奴と一緒になど戦えぬ!

 死ぬまで卑怯者の売国奴として生きていけ!

 だが少しでもおめいをそそぎたいのなら、ここで命を懸けて戦え!」


 自分達がいなくなる分を裏切者にやらせることにした。

 なにより使える者は、裏切者であろうと使わねばならない。

 だが、また背後から襲われてはたまらない。

 今度背後から襲われたら部隊が崩壊する。

 真の戦士を無為に失うことなどできない!

 私たちは急いでウェルズリー城に向かった。


「ウェルズリー侯爵に物申す!

 売国奴のメス豚イヴリン王妹は、命を懸けて敵軍と戦っていたソフィア侯爵令嬢を背後から襲わせた!

 しかもその手先に愛人の種豚を使った!

 王家が派遣した援軍を味方殺しに使った!

 その全容はイヴリン王妹の愛人のジュリアンが自白した。

 ウェルズリー侯爵はこの売国行為に加担していたのか?!

 加担しているのなら、敵として討つ!

 五分以内に返答せよ!

 返答せぬ場合は我が全力の魔法をもってウェルズリー城ことウェルズリー侯爵家をこの世から消滅させる!」


「私もです!

 襲われたのは私です!

 私はオールトン侯爵家の者としてウェルズリー侯爵家を滅ぼします!」

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