雪が降るところで舞台は始まる

冬空 幸

エピローグ



僕の双子に妹は稀にみる力の強い子だったが、生まれつき体が弱く、上手く力を扱うことができなかった。



そんな妹の双子の兄である僕は……



力のない子だった。




両親はがっかりしたことだろう。僕の住んでいる国では力を持っているものだけが首都に行き、働くことができるのだ。


首都で働いている者の家族は国から優遇され、お金も貰える。

僕は決して裕福とは言えない家庭で生まれた長男だ。

両親はきっと僕に期待していただろう。

僕に力があれば、体の弱い妹の代わりに首都で働くこともできたはずだ。


そんな僕たち双子を両親は大切に育ててくれた。

彼らの両親、僕の祖父母にあたる人からは嫌な目を向けられることもあったが、両親は僕たちにいつも微笑みかけ、たくさんの愛情を与えてくれた。


そんな幸せな家庭だった。



そう僕が18歳になろうとしていたその時までは…。






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