11日目 「こうかはばつぐんだ!」


 みよ達は、あっという間に捕まってしまった。


 (どうにかしてマリーを助けなきゃ......)


 みよは気付かれないようにマリーに耳打ちをする。すると、マリーはうんうんと頷き、目を瞑り集中する。


 すると、空中に水の球が浮かび上がった。


「そんな水の球ごと気で何とかなると思ったのです? やっぱり馬鹿なのです」


 みいがそう言うと、再び黒い服の人たちがマリーを取り押さえようとする。


 その時だった......


 黒い服の人たちはマリーに近づくや否や、吹き飛び、壁に打ち付けられた。


「な、何が起こったなのです??」


 みいは突然の出来事に驚いている。


「だって......あんな小さな玉で何ができるっていうのです??」


「状態変化だよ。液体の水が一気に気化するとね、体積は1700倍にも膨れ上がるの。その水蒸気を閉じ込めて一気に解放すれば......」


「人だって吹き飛ばせる。だよね! みよ!」


 マリーは自慢げにそう答える。


「その通り!」


 みよはマリーと目を合わせ笑い合う。


「仕方ないですね......私だってただの女の子じゃないなのですよ?」


 突然みいは動き出した。


 一瞬だった。間合いを詰められ、攻撃を寸止めされた。


(速い......この速度じゃ対応できない。しょうがない......こうなったらあれをやるしかない!!)


 みよはみいの脇腹をくすぐり始めた。


「いひっ、いひひひ! やめてっ! やめてくださいなのです!」


 こうかはばつぐんだ!


 みいはみよにくすぐられつづけ笑い転げている。


 それを見たマリーは呆気にとられている。


「マリー今だよ! 黒い服の人たちを氷で押さえつけて!」


 と、みよからの声があったのですぐに我に帰ったマリーは急いで魔法をかける。


 一瞬にして足元は凍り付き、黒い服の人達の動きは封じられた。


 すると、その反動で黒服の一人の顔に巻いてあった布が、剥がれ素顔があらわになったのだ。


「あれ、女の人⁇」


 隣でみいは転げ回っている。


「わかったから! ペンダントは返すのです! だからやめてください! いひひっ!」


 みよは流石にかわいそうだと思いくすぐるのをやめてあげた。目的はペンダントを返してもらうことだけだったのだから......


「それで、何で盗賊なんてやってるわけ?」


 みよがそう語りかけたが、みいは黙っている。


「みいちゃん、何か事情があるなら聞かせて?」


 マリーはさっきのリベンジをするかの様にみいにもう一度優しく話しかける。


 すると、せっかく同い年くらいの子に話しかけられたのに、無視して攻撃をしてしまったのが後ろめたかったのか、


 「私は......」


 と、みいはゆっくりと話を始めるのだった......

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