10日目 「けもみみと侵入者」
「ここみたい......」
マリーは足を止める。
「何もない......?」
私がそう言うと、マリーは申し訳なさそうに肩を竦める。
「私の魔法の精度が悪かったのかな......」
程なくして、みよはあることに気づく。
「ねえマリー。この壁なんか変じゃない?」
マリーは首を傾げる。
そしてみよはその壁を強く押した。
するとゴゴゴッっという音を建てて周囲の壁が左右に大きく開いた。
「みよ! これは......」
「魔法は正確だったみたいだね! きっとここだよ。やったねマリー!」
「えへへ......」
マリーは照れ臭そうに頭をかいていた。
中を覗きこむと、そこは長い廊下になっていた。
「入ろうか......」
私達は慎重に足を進める。
中はそこまで整備されておらず、延々とゴツゴツした壁が通路を作っていた。
「うーんきっと集団だろうから中に入れば1人くらいとばったり出くわしてもおかしくないと思ってたんだけど......」
そう言った矢先、目の前には子供が通れるほど小さいが、おしゃれな感じの木製のドアが見えた。
「入ってみようか......」
みよはゆっくりと音をたてないように扉を開けて中を覗き込んだ。
すると、中で白髪の幼女が座って本を読んでいた。しかも、ひょっこりと可愛い耳がついている。
(かわいい!!)
みよが話しかけようとすると、マリーがそれより先に声をかける。同い年くらいの子を見つけて喜んでいるのだろうか。
「ねえ! あなた大丈夫? ここは危険よ。悪い盗賊の人のアジトで......」
ケモ耳幼女はいきなり声をあげる。
「侵入者なのです!早く捕まえてください!」
「侵入者って......私達はただあなたを助けようとしただけで、別に何かしようとしたわけじゃ......」
気づけば、5〜6人の黒服を着た人に囲われていた。顔は布で覆われていてよく見えない。
「私達のアジトにのこのこ入ってくるなんて、馬鹿なのです! 捕まえて身ぐるみを剥ぎ取らせてもらいます!」
「......? え、まさかあなたも盗賊団の仲間なの? 利用されてるだけだよね......?」
ケモ耳幼女は頬を膨らませてこう言った。
「違うのです! 私は正真正銘の盗賊団シーフのリーダーのみいなのです!」
みいは腰に手をあてて、えっへんと言わんばかりに背伸びをしている。
マリーはせっかく自分から同じくらいの歳の子に話しかけたのに、こんなことになってしまいちょっとショックを受けているみたいだ。
「ちょっと調子狂うのです。まあ、女の子なので変に傷つけたりはしないのです。さあ、身ぐるみを剥がしちゃうのです!」
その一声で黒服の人達は、一斉に襲いかかってきた。
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