8日目 「奇襲」


 みよは路地裏の方へと入って行った。


 続けてマリーも追いつくと、


「急に走り出してどうしたの! みよがどっか行っちゃうんじゃないかって心配になったんだから......」


 マリーは不安そうな顔でこちらをみる。


「だって......周りの目が気になっちゃって。それにこんな服普段着ることないし......」


 そういうとマリーの顔は少し緩んだ。


「もー、みよは可愛いんだからもっと自信持ちなさい! これは命令よ! それに......何かあっても絶対私が守ってあげるから!」


 マリーはその小さな体で精いっぱい背のびして私の頭を撫でる。


「うん......ありがと。マリー。」


 みよの顔は真っ赤だった。


 ふと顔を上げて路地の奥を見ると、小さな露店があった。


「ねえマリー、あのお店に行ってみない?」


「いいわよ!」


 そうして私達が店の前に行くと店主から話しかけてきた。


「お嬢ちゃんたち、べっぴんさんだねぇ。どうだい? ここで一つアクセサリーでも買っていかないかい?」


 (チャンスだ......)


 みよはそう思った。


(心配かけちゃったし、ここはお姉ちゃんとしてマリーにアクセサリーを選んであげよう。)


 そう目論むみよだった。売り棚をみると、一際美しい、青色のペンダントが見えた。 


(マリーの瞳とおんなじ.....とっても綺麗。)


「ねえマリー! あれなんてどうかな。」


 そう言って私は青いペンダントを指差す。  


「あれが欲しいの?わかったわ、すみません!」


 マリーは金貨を支払い店主からペンダントを受け取る。


「はい! みよ。どうぞ!」


「え、あ違うの......このペンダントはマリーにつけて欲しいんだ。」


 マリーは驚いていた。


「私のために選んでくれたの? ありがとう!」


 そう言ってマリーはぴょんぴょんと跳ね回ると、首にペンダントをつける。


 ーーその時だった。突然やってきた黒い影はマリーのペンダントを奪い取り、路地の奥へと逃げていく!


「あっ!」


 マリーは呆気に取られている。


「何してるのマリー! 早く追いかけなきゃ!」


 私はマリーの手を取り、急いでその人達を追いかけるのだった.....

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