6日目 「街へ出発!」


(......ということで街に出ることになったんだけれど.....)


「みよにはお屋敷にある服だけじゃもったいないわ! みよは可愛いんだからお洋服にもこだわらなくっちゃ!」


(......たしかに私ずっと家にこもってたからあんまり服とかは気にしてなかったかも。)


「お嬢様方、お出かけの準備ができました。」


 そう言われて、屋敷から出るとそこにはまたあの黒い車が止まっていた。


「そういえばマリー? あの車はどうやって動いてるの?」


 そうだ、この前はごく普通に車に乗ってきたけれど、科学技術の発展していないこの世界で車が走っているのはやっぱりおかしい。


「ああ、それなら精霊が動かしてるのよ。」


「精霊?」


「そうよ、精霊と私達は共存関係にあるの、私達ファルクール家は、毎年春になるとユースリィフィアという精霊の森へいってたくさんの木を植林するの、そうして私達は自然を守り、彼女らは私達の暮らしの手助けをしてくれているらしいわ。」


「精霊の森?! 精霊ってどんな見た目なの??」


 みよはきらきらと目を輝かせてマリーに詰め寄る。


(精霊か〜あってみたいなぁ......RPGとかで出てくる妖精さんみたいなのかな??)


「詳しいことはわからないの。私もお婆様から聞いただけだから。普通の人間には精霊をみることはできないの。ずーっと前の先祖から伝えられているから毎年の植林は続けているのよ。」


「そうなんだ......」


 みよは異世界にきてようやくファンタジーな存在に出会えると思っていたので、落ち込んで肩を落としていた。


 それに気づいたマリーは、


「でも、みよだったらいつか精霊さんともお話しできるかもね!」


 そういっていじらしく微笑むのだった。


「それじゃあはやくいきましょう!」


 マリーはそう言うと、てくてくと小走りで車に乗り込んだ。


(走り方かわいい......)


「も〜待ってってば!」


 それに続いて私も車に乗り込む。


(精霊さん......お願いしますね!)


 そう心の中でつぶやくと、車はなんだかいつもより元気よく走り出してくれた気がした。


「それじゃあ街に出発!」


「「おー!」」


マリーと掛け声が揃ってなんだか嬉しかった。

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