第125話 40代・鍼灸院
今も通い続けている鍼灸院に最初に行ったのは、父が入院する少し前だった。
交通事故の後遺症の腰痛を治すために通っていた友人に勧められて行った。
普通の鍼灸院ではなくて、気功治療と鍼灸を合わせたような治療法のところで、最初の治療の後、帰ってからなんとなくお腹のあたりが膨れたような気がした。
しばらく通って、効果があるとはっきり感じたら、父を連れて行こうと思っていたのに、結局1度も連れて行くことができなかった。

ただ、父の入院中の数ヶ月、ICUに入りっぱなしで私ができることなど大してなかったけれど、それでも毎日ちゃんと病院に通い続けられたのは、この鍼灸院に通い始めたおかげだと思う。
その数ヶ月間は、いつ父の容体が急変するか分からなかったので、それまで通っていたレイキヒーリングのほうはあまり行けなくなってしまった。
そちらの方が遠いし、治療に時間がかかるし、予約しなければならなかったから。
鍼灸院のほうは予約できないので、患者が並んでいると時間がかかってしまうけれど、知らせが入ってすぐに帰ると言うこともできる。
待合室に入るときには携帯電話の電源を切らなければならないけれど、自分の順番が来る直前まで外で待っていることもできた。
それまで、レイキヒーリングのおかげで何とか体調を保ってはいたけれど、回復していると言う感じが少なかった。
気をつけて生活していたけれど、電磁波や電波を浴びる環境に行けばすぐ体調が元に戻ってしまう。
鍼灸院に通い始めてから、最初のうちはあまりピンとこなかったが、ある時、
『ああ、今日は効いたなぁ』
と思うことがあった。
そのあたりから、だんだんと回復していった気がする。
もちろん、全く元に戻ったわけではなく、過敏性が少し下がってきたと言うだけだけれど、それでも、この頃から少し、パソコンを使うことができるようになっていった。
これは、単に私の感覚であって、正しいかどうかわからないけれど、電磁波過敏症の症状に、即効性があるのはレイキヒーリングの方だと思う。
実際、葉山で浄化槽によって低周波過敏が出たときに鍼灸院ではどうにもならなかった。
鍼灸院のほうは、体全体の回復力を上げる。
あるいは腫れぼったさをとってもくれる。
化学物質過敏症にはどちらも効くと思うし、電磁波過敏にも、長い目で見れば鍼灸院のほうも効果があった。
電磁波過敏に対する『即効性』ではレイキヒーリングが上だったと言うだけだ。
カウザルギーには、逆に、レイキヒーリングではどうにもならなかったと思う。
父が亡くなった後は、両方に定期的に通いながら、時々、別のスピリチュアル系のセミナーなどにも頼って、体調や、精神状態の回復に努めて数年が過ぎていった。

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