第126話 今・責任
昨夜はまた、1時間おきに10分程度、夜中に何度も起こされるというパターンだった。
かなり雨風が強かったから、アレでも低周波は弱まっていたはずだ。
にもかかわらずあれだけハッキリ届くのだから、エコキュートの低周波と言うのは本当に特殊なのだろう。
まだ計測機は来ないが、他の人が使用中なのだろう。
どちらにせよ、しばらく天気が悪いので、計測機が到着してもすぐには計測できそうにない。
計測の結果次第では争いの場に出ることになるだろう。
それが私にとって、いいことなのかどうかよく分からない。
ただ、何もせず、この家をあきらめることはしたくないだけだ。
不動産屋さんにはメールをして、時間のある時にでも、とりあえず我が家の賃貸に出した場合の見積もりをしてもらうことにした。
もし、弁護士に相談して、何もできそうにないとなれば、引っ越すしかない。
その場合、先に予算だけでも決めておけば、すぐ探し始められる。
ヘルパーさんは、向かいの家の方について、
「新居にケチをつけられたような気持ちになったんだろうね」
と言った。
そんなもの、その程度のことが、他人の健康を害する理由になるんだろうか。

私だっていきなりそういう話をされたら、それは気分を害するだろう。
でも、全く話を聞かないなんてことはしない。
とりあえず話を聞いて、落としどころを考えると思う。
たかが湯沸かし器のことじゃないか。
別の湯沸かし器にするにしろ、全額そちらが持てと言ってるわけでもない。
誰かの命を危険にさらしてまで固執するほどの代物だろうか。
誰かを、家から追い出してまで固執するほどの代物だろうか。
あるいは、それほどの重みのあるプライドなのか。
他人を踏みにじってまで守りたい自尊心とは一体、価値あるものなのか、私には分からない。

おそらく、私がここを出て行ったら、彼女たちはこう言い訳するのだろう。
『まさかそれほど悪いとは思わなかった』
あるいはこうだろうか。
『私たちだけのせいじゃない。そもそも、その前から具合が悪かったんだから』
私は言わせてもらいたい。
あなたたちのせいだと。
何とかこれまでこの場所と折り合いをつけながら、体調ギリギリを保ってきたのは、この家に住み続けたかったからだ。
だから、中途半端な気持ちで私を追い出してほしくない。
エコキュートに固執して私を追い出すなら、覚悟を持って追い出してほしい。
その責任を、一生背負って欲しい。
自分たちが追い出したのだと、自覚を持って追い出して欲しい。
何度でも言いたい。
あなた方のせいだと。
出て行く時は正面きって言うだろう。
あなたたちのせいだと。


そして、エコキュートの開発者と販売会社、被害を認識していながら、いまだに規制していない政府にも言いたい。
あなた方のせいだと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます