第56話 今・遅れてる

今月下旬の入居としか聞かされていないので、毎日、いつ引っ越してくるのか怯えて暮らしている。

少しはゆっくり眠れるのは今日で最後かもしれないと思いながら。


建築会社の担当の方に連絡して、ソーラーチャージの機能について伝えた。

設置した会社に連絡して、確認してくれるそうだ。

入居前に設定してくれるといいのだが。

年間の、差額支払いについては入居後に話し合いになりそうだ。




お隣との話し合いのために、低周波過敏の診断書を取った方が良いのではとケースワーカーさんからメールが来た。


残念ながら、今の日本に診断書を書いてくれる医師はいない。

数年前までは1人だけいらしたらしいが、私が発症したときにはもう亡くなっていた。


私は、ずっと以前に鎌倉で電磁波過敏症を発症したときに北里大学附属病院の方でいちど、見ていただいて、その時のアドバイスを頼りに自分で工夫しながらなんとかやってきた。

心細いが、もともとこの病気は治療法らしい治療法がない。

原因となったものを遠ざけ、バランスの良い食事を心がけ、規則正しい生活をしながら、ゆっくりと回復するのを待つしかない。


今回、改めてこの時の先生に連絡をとってみたが、やはり診断書は出せないらしい。

もともと、化学物質過敏の専門医で、電磁波や低周波に関してはアドバイス程度しかできないということだ。





こういう時に思うのは、日本はやはり後進国だということだ。

あえて古い言葉を使う。

日本は後ろを歩いている。

中国とかより少しマシなだけだ。


電磁波被害も、低周波被害も、なかなか裁判で勝利を得るのは難しい。

原因との関係性を立証するのが難しいから。

どうやら、日本には「予防原則」と言う言葉は存在しないらしい。

はっきりと、確実に立証が可能になったときには、被害者は山のように積み上がっている。



エコキュートも、健康被害の報告が上がっていても、いまだに平然と売り続けている。

そんなに自信があるなら日本以外の、ヨーロッパあたりでも売ればいい。

企業優先、経済優先のこの小さな国だけを食い荒らしていないで。

この国の、ゆるゆるの規制の中だけで泳いでいないで。

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