第43話 今・あれで良かった?
帰ってくる間に、だんだん昨夜のことが気になりだした。
最初はやり遂げた達成感だけだったけれど、なんだか気になっていたことを棚上げしてしまった気がして来た。
一軒先のおうちの室外機の音が原因じゃなかったら、実のところ私にとってはありがたい。
そこは先日、ブロワーの交換をお願いした隣家の息子さんの家だ。
広い敷地に親御さんの家と息子さんの家とが広い前庭を囲むようにして建っている。
もちろん私の話の持って行き方も問題だったのだろうけど、最初は、言いがかりじゃないかとか、そんなふうに言われたし、実際に、ここのお宅が原因で、もう一度行くとなったらなかなか勇気が必要だ。
おそらく音がうるさいので対策してください、では通じない。
私の方でやるので許可してくださいと言わなければならない。
それに、隣家のお母様の方のお宅でそれだから、さらに離れた家のほうの音が問題となったら、何か証拠でも持っていかないわけにもいかない。
だからここじゃないって思いたかったんじゃないかと言う気がしてきた。
気になっていたんだから、一応記録して送っておけばよかった。

その晩、もう一度、今は計測器を持っていないので、一応普通に布団に入り、音が大きくなって目覚めるたびに、上着を引っ掛けて、室外機の音が聞こえるかを確かめに行く。
やはり、一晩中鳴り続けていた。
音が大きくなったり小さくなったりするのは、もしこれが本当に室外機だとすると当たり前と言えば当たり前だ。
翌日、NPOの方に事情を説明し、追加でいくつか録音させてくださいとお願いした。
またまた計測器が送られてくることになる。
北側の音か、南西の音か、今度こそわかるといいのだけど。
だけど、わかったからといって本当に私に対策できるんだろうか。

引越しした方がいいかもと言ったって、室外機の音でこれでは、どこにも行く先がない。
それとも、ここが葉山だから?
ブロワー の音が、そこここで響き渡っている葉山だから、ほんの少しの音が増えただけで、こんな風になってしまうの?
やっぱり、ここにはいられないのかな。
無理して、あっちにもこっちにも頭を下げ、費用を出し、頑張って対策して、それは全部ムダなこと?
今も室内に、体の底に響くような低周波音が、響き渡っている。
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