私を殺さないでください
深幸
第1話 はじめに
化学物質過敏症
電磁波過敏症
低周波過敏症
反射性交感神経性ジストロフィー(カウザルギー)
どの病気もつらいです。
病気はみんなつらい。
どの病気もいろいろ我慢しなきゃならない。
誰かに助けてもらわなきゃならない。
ただ、過敏症はさらに、誰かに我慢してもらわなきゃならない、全くの他人に。
家の前の新築に、エコキュート が入りました。
エコキュート はやめてってお願いしたんだけどな。
私は浄化槽のブロワ音で低周波過敏、発症した。
普通、低周波過敏と言うと、低周波音が気になって眠れない人を思い浮かべるらしいけど、私は違う。
電磁波過敏が先にあったからか、身体中痛い。
頭痛が酷くて眠れない。
胸が痛く、息切れする。
全身が震え、酷くなると痙攣する。
エコキュート は置いてあるけれど、設置場所は考えてくれたみたい。
多分、私の説明が悪かった。
すごく体調の悪い時期で、ちゃんとした説明ができなかった。
その後、どうなったか確かめるのが怖くて聞けなくて、放置してしまった。
建築会社さんを通してお話ししてもらうことにしたけど、昼間稼働してもらうことはできそう。
昼ならつらい時は出かければいいし。
今からでも別のものに変えてもらえないか、頼もうかとも思ったけど、いろいろお話を伺うとなかなか大変な工事になってしまいそう。
今、それだけの費用を工面するのも大変だし、私も試してみもせずにダメ、無理だから変えて、っていうのは取り替えてやっぱり他の音で具合悪い、ってなったときに申し訳ないから保留にした。
そもそも、もっとちゃんとお話しすればよかった。
他人の病気の話なんて聞きたくないだろうと、あまり病状を詳しく話さなかったし、悪化するからやめて、それでもどうしても入れるならせめて場所は配慮して、って感じだった。
私としては他人の私のために諦められないなら、止める手段はないからその場合はせめて場所くらいは考えて欲しいです、って気持ちだったのだけど、建築会社の担当の方は、そんなことないよ、いろいろ考えていらしたよ、と。
それは家を見ただけでわかりました。
浄化槽は前の方、うちと逆側だし。
ああ、ちゃんと話さなかった私が悪かったな、きちんと説明すれば、エコキュート も他のものにしてくれたかも。
大抵の人は、いい人なんだよね。
私はほとんど、過敏症患者があう理不尽な目にあったことがない。
それなのに、お願いする時はどうしても、被害者意識が先に来て、押し付けがましくなってしまう。
すみませんすみません、こんなこと頼んで、面倒な人だと思ってるでしょ、違う?お願い助けて!
・・・という感じ。
反射性交感神経性ジストロフィーもすごくつらかったし、いろんな人に助けてもらったけど、それはまだ、いろいろな形でつながりのある人たちだった。
過敏症って本当に厄介。面倒。
小さくなって小さくなって、生きているのも申し訳ない気持ちになる。
何度も何度も死を思う。
だって、全くの他人、なんの関わりもない、ほとんど話したこともない人たちにたくさん助けてもらわないと、生きていくこともできない病気だから。
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