第二の人生
第1話「セカンドライフ」
「...ーい、おーい」
朦朧とした意識から目覚めるとそこは真っ白な部屋だった...
ということもなく今日も普通の女子高校生の一室で目を覚ました。
21××年 東京。綴夜見つづりよみ。私は飛び級制度を使い、中学を卒業すると同時に大学に入学し、倫理学を学んでいる。その傍ら、とある企業からのオファーを受け、研究者として補助金を貰いながら働いているのだった。その企業とは大手企業であるSSコーポレーションの子会社であるIKH、異世界クソラノベ保管庫である。一見意味不明だが、表向きにはただの出版社なのだ。
ここで出版されるのは意図してクソラノベとして書かれたもの、どうしようもない作者によってうまれたクソ作品と様々である。名前のハードルが低いからか全国から年間100万タイトルものクソラノベが送られてきており、どのような点がダメなのかを完璧に分析する仕事。それが私の仕事だった。もちろん、クソ作品かどうかの選別は他のものがやる。100万タイトルも読んでられない。
「おはよーございまーす...」
「おー、よみくん。待っていたよ。こんな朝早くからわるいねぇ」
「いえいえ...まだ非公開なんですから早い時間から目立たないうちに始めるのがいいというのはわかるので」
そう、今日はSSコーポレーションが誇る新技術VRinの試験利用日。私が最初の被験者に選ばれたわけだ。
「本当にいいのかい?これから君は新しい人生。つまり君は死ぬまでこの世界に囚われるわけだが...いや正確にはあっちの世界での君がという意味ではあるが...」
そんなことは言ってもすでに承諾書を3回も書かされ、確認は何度もとっている。
「その話なら1週間も前から何度もお話したじゃないですか。一生と言ってもこの世界にとっては1時間の出来事なんですよね?それに面白いじゃないですか。いくらクソラノベの登場人物としてでも、違う人生を歩めるんですから!」
「まあ...危険性については再三説明したから大丈夫か、それじゃあ本当に気をつけるんだよ。それとあまり思い悩んだりしたらだめだ、精神が持たなくなる。あくまで君は仮想世界の中の仮想の人物。そんなに重く考えちゃだめだ。」
「はい、わかっています。」
「それじゃあ気をつけて、任務の方も頼んだよ。」
そう言われて私は横になり、黒く大きな筒の中に入り、意識を失った。
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