猫子の事件簿 file2 『紅の悪魔』
館西夕木
プロローグ 少女の日記
六月二十日。天気は晴れ。
あなたの横顔を見るだけで胸が苦しい。ああ、どうして神様はこのような試練をお与えになったのでしょう。こんなことになるくらいだったらいっそのこと、何も知らないままでいたかった。何も……
六月二十五日。天気は雨のち曇り。
もしあなたが兄でなかったら。もし私が妹でなかったら。そう考えるたびに、どうしようもならない現実が私の心を激しく揺さぶるの。ああ、あなたは知っているの? 私のこの想いを。言いたい。でも言えない。言ったらきっと全部壊れてしまう。
七月二日。天気は晴れ。
今日もあの人の横顔を見つめるだけ。伝えたい。でも伝えてどうするのかしら。あの人はきっと私のことなんて……
七月十六日。天気は曇りのち雨。
忌まわしい、この血が。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます