猫子の事件簿 file2 『紅の悪魔』

館西夕木

プロローグ  少女の日記

 六月二十日。天気は晴れ。


 あなたの横顔を見るだけで胸が苦しい。ああ、どうして神様はこのような試練をお与えになったのでしょう。こんなことになるくらいだったらいっそのこと、何も知らないままでいたかった。何も……









 六月二十五日。天気は雨のち曇り。


 もしあなたが兄でなかったら。もし私が妹でなかったら。そう考えるたびに、どうしようもならない現実が私の心を激しく揺さぶるの。ああ、あなたは知っているの? 私のこの想いを。言いたい。でも言えない。言ったらきっと全部壊れてしまう。










 七月二日。天気は晴れ。


 今日もあの人の横顔を見つめるだけ。伝えたい。でも伝えてどうするのかしら。あの人はきっと私のことなんて……

























 七月十六日。天気は曇りのち雨。


 忌まわしい、この血が。














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