JK日本ちゃんが体験する2000年間の対外関係(と少し日本史)

@Nanohana2

一学年編【熊襲討伐〜南蛮貿易(予定)】

日本のあけぼの【熊襲討伐〜倭・高句麗戦争(三韓征伐)】(※神話要素強め)

「起きなさい、日本ちゃん。もう起きないと遅刻しますからね……」


「えぇ……もうそんな……時間なのぉ……お母さん、まだ寝かせててよぉ……」


「言うことを聞かないのであれば、強行手段を出すしか無いわね。無理矢理、布団を畳んでしまいますよ」


「うわぁんー、やめてぇー……」


 無理矢理、布団を引っ張って、ようやく日本ちゃんを起こす。これが私の毎日の日課だ。






 いつも思う、私の娘、日本ちゃんは高校生にもなったというのに家の中では泣き虫だ、しかしその反面、家の外ではどんなものにも恐れない強がりになるという変わった性格だ。一体、誰に似たのだろうか……。


 いや誰に似たのかというのは言わずもがな、既に見当はついているのだが。






「スサノオさん、起きて下さい。会社に遅れますよ」


「あれぇ……母さん?……いやでも……母さんは根の国にいるはずでは……」


「ちがいます!アマテラスです!イザナミではありません!」


「それもそぉかぁ……」


「って、寝るんじゃありませんよ!」


「うわあ……わかった、わかったから、お願いだから、布団を引き剥がさないでくれ!」


 そう、日本ちゃんが泣き虫なのはどう考えてもこのマザコン男からの遺伝だ。


 こんな男だが、かつては街から少女を誘拐する蛇と呼ばれる八人組を捕まえたりと、とても勇壮な男だったのだ。


 クシナダヒメという美人な妻もいて、普段は彼女がコイツの面倒を見ている。


 “寂しくなったらコレを見てね、私は側にいるから”


 などと、意味の分からない事を言って、彼女は櫛を置いて、生まれたばかりの八島士奴美神やしまじぬみのかみを連れて、実家に一時的に帰省している。



 ――――――――――――――――――――



(えぇっと、教科書は全教科鞄に詰め込んでるから良いとして、あとは護身用の剣を持って準備完了かな)


 いつもの如く、階段を下り玄関に向かう途中、居間の扉が開くとそこからスサノオが顔を出した。


「天叢雲剣は持ったか、お前はアマテラス姉さんに似て可愛いんだから、狙われたら、すぐさまそれで身を護れるように持っていろよ」


 スサノオが口を酸っぱくして言う。


「はーい、分かってますよー」


 私はいつもの様に空返事で、玄関を開ける。






 私の家の敷地は広い部類になるだろう。なにせ四方を掘りで囲まれて、更にその敷地内に水路を通し四つの島大きな島と、幾つかの小さな島ような土地が出来ていて、そこで親戚一同が暮らしているといえば如何に広いことが分かるだろう。


 私の祖父母であるイザナギとイザナミが設計したというが、四季で姿を変える植物といい、とても美しい作りとなっている。






 満開となっている桜に心惹かれながら庭園を歩いていると、背後から不気味な気配を感じた。


「ケッケッケッケ、日本ちゃんを見つけたぞ。」


「抵抗するようならば、このライターで焼き尽くしてやろう。」


「そうだそうだ」


「抵抗しても無駄だぞ」


 なんと背後に突然、複数の男が現れたのだ。


「えぇっと……熊襲くんに、出雲くんに、相模くん、蝦夷くん……いったい私に何をするつもり?」


 私は恐る恐る、彼らに問いかけた。


「決まっているじゃ無いか、この神州を我々が支配しようと企んでいるのだ。さぁ、さっさと我々に譲るのだ」


 熊襲くんが言う。


「そんなことは絶対に出来ないわ。この庭園は私の祖父母が作った先祖代々の土地なのよ。お前達なんかに絶対に譲らない」


 自らの信念を彼らに言い切った。


 すると突然、熊襲くんが襲いかかってきた。


 私はすぐさま剣を握り、熊襲くんを倒す。


 すると、今度は相模くんがライター片手に襲ってきた、瞬時に避けると、火は私ではなく草花に引火し、私は周囲を火に包まれた。


 即座に剣で草を刈り掃い、窮地を脱することに成功した。


 火から抜け出すと同時に、相模くんを倒して火の中にその体を突っ込む。


 恐れをなした蝦夷くんは北の大地へと逃げ出してしまった。






「なかなかやるでは無いか、これからは共に仲良くやっていくことにしよう。」


 出雲くんが言った。


「それがいいわね。仲良くしましょう。友好の証に軽く太刀あわせでもしてみませんか?」


「いいでしょう」


 出雲くんは応じて、つづらの沢山巻かれた派手な太刀を出してきた。


「ふふふ、出雲くんのその派手な刀は護身には何の役にも立たないでしょう。」


 隙を見て、出雲くんを倒す。事実、出雲くんの洒落た太刀では私に対抗することは出来なかった。


 こうして、自宅内に現れた蛮族らを倒した。





 ようやく、自宅の庭を出れたが大分時間を、消耗してしまった。


 しかし、お母さんの私を起こす時間の早いことよ、何せ、太陽が昇ると同時に起こし始めるのだから5時15分頃に起こされて何が遅刻してしまうなんだか、意味が分からない。これから学校に向かっても、1時間どころかそれ以上に時間が余っているだろう。






「おはよー」


 教室を見渡すと少しながら生徒が来ていた。私の家のお隣さんである高句麗ちゃん、新羅ちゃん、百済ちゃん、任那ちゃんの四人だった。


「日本ちゃんだー、おはよー」


 任那ちゃんが返事を返してくれた。


 あっちでは朝鮮三姉妹の姉貴分の高句麗ちゃん、高句麗ちゃんに対するシスコン疑惑の新羅ちゃん、高句麗ちゃんに対抗心剥き出しの百済ちゃんが三者三様言い争いをしてる。


(ふふふ、今日も新羅ちゃんにちょっかいを出しちゃおうかな)


 新羅ちゃんに気さくに声をかけてみる。


「おはよー、新羅ちゃん、やっぱり高句麗ちゃんが大好きなんだね。でもね、そうやってお姉さんから離れられないのは良くないと思う。だからさ、私と遊びましょう。」


 新羅ちゃんは私が近づくと、怖がるように後退りをし、高句麗ちゃんに抱きつく。


「うわぁん、高句麗姉さぁん……またクソ倭がいじめてくるよぉ……」


 シスコンはいつもの様に、高句麗ちゃんに助けを求めた。


「いま、私はこの出来の悪い百残の説得に忙しいらのです。こんな時に、また倭ですか……」


 高句麗ちゃんは対応に迫られる。


(ふふふ、朝鮮三姉妹を日本のものにする機会は、今しか無い、今のうちに新羅ちゃんを私の仲間にしよう。そして、弱ってる百済ちゃんと高句麗ちゃんも共々、私の仲間にしてしまおう。ふふふ)


 新羅ちゃんを高句麗ちゃんから奪う隙をうかがう。


 よし今だ!


「隙あり!おりゃぁ、新羅ちゃんもう、お姉ちゃんから離れなさい、今日から新羅ちゃんは私の仲間よ」


「うわぁー、やめてー」


 新羅ちゃんを高句麗ちゃんから引き剥がし拘束する。


 次いで、百済ちゃんにも声をかける。


「ねぇねぇ、百済ちゃん、もし高句麗ちゃんが百済ちゃんをいじめるようなことがあったら助けてあげるからね。だから、仲良くしようよ。その代わり、大陸の新しい文化を沢山教えてくれないかなぁ?」


「良いでしょう、そうしましょう」


「百済ちゃん、よろしくね」


「よろしく」


 よし、百済ちゃんとも仲良くなれた。あとは高句麗ちゃんだけだ。


「任那ちゃん、新羅ちゃん、百済ちゃんを仲間にした今、あとは高句麗ちゃんだけだよ、仲良くしようよ!」


 声をかけるも高句麗ちゃんは応じない。


 そして高句麗ちゃんが訴えた。


「抵抗する私の仲間を、無理矢理仲間にしたり、綺麗事を並べて嘘をついて仲間に引き入れるなんて許さない。そして、倭なんかの譫言にマンマと騙されて倭の味方につく百残はありえない。潰してやるからな。」


 そう訴える高句麗ちゃんは、鬼の様な恐ろしい目つきだった。


「まって、高句麗姉さん、百済ちゃんを倒す前にまず私を助けて」


 新羅ちゃんが訴えた。


 すると高句麗ちゃんの怒りの矛先は、新羅ちゃんを拘束している私に移った。


 そして高句麗ちゃんは、私を無理矢理退けさせて、私から新羅ちゃんを奪いとった。


 無念。


「畜生、残念だけど、これ以上、このシスコンの邪魔をしても自分の身を痛めるだけか……ねぇ、百済ちゃん、このシスコン姉妹は置いておいて、あっちで任那ちゃんと三人で遊んでましょう」


「うん、そうしましょう」


 こうして、私は百済ちゃん、任那ちゃんと親しく関わり合うようになったのだった。



 ――――――――――――――――――――



「高句麗姉さん、これからどうしましょうか、また、倭がちょっかい出してくる気がして仕方がありません」


「大丈夫よ、新羅ちゃん。いざとなったらまた助けてあげるからね、その時には百済と伽耶もろとも纏めて倒してみせるわ」


 妹思いの姉、高句麗ちゃんの勇気づけられる言葉を聞いても、妹、新羅ちゃんの不安は解けなかった。


「でも、姉さんそれでは今までと変わらないじゃないですか……なにか新しくて良い案はありませんか」


「うーん、そうだなぁー……ならば、良い案が一つ思いついたわ。倭が百済ちゃんと伽耶ちゃんを味方につけるなら、私たちもそれに対抗して倭の豪族、即ち対馬や九州近辺の国造を私たちの味方につけてみるというのはどうかしら」


「おお、流石お姉ちゃん、頭がいい。すぐ実行に移しましょう。それで都合が付きそうなその国造とやらは見当がついてるのですか?」


「いや、まだそこまでは……でもきっといるはずよ、簡単に寝返る輩があっちにもいるはず。嫌でも倭はうちのお隣さんだから、対馬や九州の国造ならば倭の家の堀があるとはいえ、朝鮮の庭の塀と、倭の庭の塀に穴を開ければ簡単にやりとりできるわ」


「お姉ちゃん、流石だ、しっかり考えているね」



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補足・解説


正直、後書きは小説の雰囲気を壊すので書きたく無いのですが、この作品の場合、ないと逆に分かりにくいのでやむを得ず書きます。


前半の部分は古事記を、読んだ事があれば何とか理解していただけると信じています。


後半の部分は好太王碑と三韓征伐を混ぜたような感じになっています。どちらとも事実か議論がありますが、どちらにせよ倭が朝鮮半島に影響力を持っていた、進出しようと企んでいた、というのは事実でしょう。


キャラクター紹介


日本ちゃん(倭)【女】

アマテラスとスサノオの二人の子供、スサノオ譲りで勇猛でかつ、アマテラス譲りで美人らしい。自分の庭に住み着いている蛮族と争いながらも、今は朝鮮三姉妹を狙っている。


高句麗ちゃん【女】

朝鮮三姉妹の長女、百済と仲が悪い。日本のお隣の家に三姉妹で住んでいる。新羅ちゃんを可愛がっている。


百済ちゃん(百残)【女】

朝鮮三姉妹。高句麗ちゃんと仲が悪く、日本ちゃんと仲良くなった。


新羅ちゃん【女】

朝鮮三姉妹で一番弱く、高句麗ちゃんを頼って守ってもらってる。シスコン疑惑を立てられてしまう。最近はずっと日本ちゃんにちょっかいを出されているらしい。実はこの子こそが朝鮮三姉妹をどうにかしてしまうなんてこの時は誰も想像がつかなかった。(ネタバレ)


任那ちゃん(伽耶)【女】

かなり日本に影響されている。私だって朝鮮の人間なのに何故か朝鮮四姉妹とは呼ばれない。不思議。


蛮族(熊襲くん、出雲くん、相模くん、蝦夷くん)【男】

日本を乗っとろうと企んで、日本ちゃんの家に忍び込んでいる。この子たちの他にも蛮族がいますがそれは後ほど。



(歴史を使えば物語をあまり練らなくても、作品が作れると甘く見ていたが、国家間の関係を調べたりしたりして検証に時間がかかりますねコレ。楽しいですけど。)

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