35話 日英交渉 その1
1940年3月5日
転移事象から5日後、三木 隆外交官は、日本国の特使として空軍輸送機のC-2に搭乗し、三木の秘書官として
C-2には主翼、垂直尾翼、先端部分を外した状態の胴体部分の三菱F-1が1機搭載し、外した主翼、各部品、兵器関係等の物品は、もう1機のC-2に搭載された。
C-2が離陸した空港は、北海道千歳基地であった。
何故千歳なのかと思う人がいるだろうが、北極圏航路を利用すると高緯度の国々では、非常に距離が短縮出来ることに他ならないからである。
例えば、東京ロンドン間で約9560km、石川県小松基地だと約9370km、千歳だと約8900km、C-2の航続距離は空荷で9800kmで、F-1戦闘機の重量は軽いとはいえ、兵器を一切装着しない状態で約6.5トンもあり、増加重量を考慮すると、空中給油無しで行けるギリギリの距離であった。
なお、F-1を飛行して運ぶことも検討したが、増槽(予備燃料タンク)を取付しても、せいぜい2300km位の飛行距離であり、4回の空中給油をしなければ目的地に到着せず、ルーシア上空での空中給油は大変危険が高かった。
また戦闘機を連続運用することで、エンジンが破損する可能性が高いため、このプランは初期段階から消えていた。
さらにF-1をある程度分解し、C-2輸送機で運搬することは問題は無いのだが、この時代は戦時中でありル連上空を含め、他国やドイツの支配下国家の領空を通過した際、ドイツのレーダー哨戒網に引っ掛かる可能性が高く、輸送機だけでは敵機に撃墜される危険性があった。
そのため、当初は輸送機の護衛編隊を組んで空輸する予定であった。
しかし、その懸念も国防装備庁電子装備研究所が開発した光学迷彩機能付きステルス素材によりレーダーに探知されず、また光学的に見えないことで安心して敵領空にも侵入可能で、電磁バリアも併せて開発されて、防空上の問題も無くなっていた。
「三木さん、もうロンドン上空ですか。意外と早く着きましたね」
「機長、そろそろ光学迷彩機能をオフにして下さい」
「了解!」
「あ、この飛行機の主翼が見えてきた。
フフフ、私、子供みたく今現在ワクワクしている。
三木さん、私の事を変だと思わないで下さいね。
私、天使の癖に機械天使と呼ばれているメカオタクな女子なんです。
だから、乗り物や機械モノが大好きで、飛行機や自動車なんか乗ると自分の気持ちがワクワクするのです。
あ、御免なさいね。一方的に私が喋っていますね。
こんなに饒舌なることって、久しぶり。
今回、三木さんと一緒に仕事が出来て最高です」
「そうですか、玲美さんって面白くて可愛い人ですね」
「私って、面白?え?可愛いってそんな」
玲美は三木から可愛いと言われ、思わず頬を赤らめてしまい、次にニヤリと微笑んでいた。
「それより、間もなく着陸しますよ」
ちなみにこの『三木 隆』という人物は、大卒後ストレートで外務省に入庁した人物ではない。
元々は国防大学校卒業後、陸軍士官課程を経て幹部レンジャーを経験後に、陸軍総隊特殊作戦群を希望し、その後諜報部隊を目指して国防情報学校に入学してその課程を修了し、情報省の諜報部隊に採用されるはずであったが、三木の特異な経歴が、元陸上自衛隊特殊部隊出身の中破総理の目に留まり、陸軍所属で外務省に出向するという形を取っていた。
三木が武官であるにも拘わらず外交官の任務に就くことは、外交交渉に向かう国々がキナ臭いこともあり、外交官の生命に拘わる危険性があるため、通常の外交官では対応出来ないからであった。
また、何故三木を中破が選んだかというと、ズバリ総理の『勘』である。
というか、総理自身の野生の感覚が、自分自身に似た不屈の精神と正義心を持っていることを一目で見抜いて彼を採用し、後から三木の異例の経歴が判明して、中破自身は自分の目と勘に狂いは無かったと自負していた。
なお、三木は軍士官で採用されレンジャー課程や諸々の功績等があった他、中破が国防大臣でいた時に人事的配慮により、同期に比べて異例の速さで中佐まで昇進していた。
そのため、外交官としての地位は領事官待遇であった。
三木は、英国との交渉に旅立つ前に中破総理から言われたことを思い出していた。
『いいか、三木君。日英交渉といってもそんなに気張るモノではない。
あくまで英国との顔繋ぎだな。
日英同盟を締結出来れば上出来だし、仮に交渉決裂した場合は前世界の史実通りである日独伊三国同盟を結ぶだけの話よ。
前者は全世界を天下三分の計で支配するための布石だし、後者は英国が滅亡するだけの話よ』
『総理、交渉失敗しても構わないのですか?』
『そうだな、かって前世界の日本が取った卑屈に低姿勢になる外交姿勢を取る必要はないぞ。あくまで紳士的に礼節を持った対応をしてくれ』
『紳士的に礼節を持った対応ですね』
『それにコチラが先端技術を売り付けるわけだから、高圧的、高飛車な態度を取ることも時には必要かも知れないぞ』
『高圧的、高飛車な態度ですか?それより総理、このF-1戦闘機は時代遅れの感が否めませんが、コレも先端技術なのですか?』
『三木君。手渡したマニュアルに記載されていたと思うが、この時代は前世界より100年の年代差がある。
その当時の科学技術はようやくジェット機の開発を始める頃なんだ。
確かにF-1は我々には時代遅れでも、この時代ではチート兵器そのものだといえるわけよ。
オマケにF-1を運ぶ貨物機にC-2を使用することで、相手の度肝を抜くことは間違いないから、大船に乗ったつもりで安心して渡英して欲しい。
それと、三木君の方で急に必要なモノが出来た場合は、気軽に日本に連絡してくれて構わないし、何時でも支援はするからな』
「(総理は大船に乗ったつもりというけど、コッチは外交交渉は初めての体験で不安この上ないけどな。ま、支援の方は大変助かるが)」
三木は総理に言われたことを思い出し、独り言を呟きながら不安な気持ちを紛らわしていた。
C-2の2機は、ヒースロー空港に到着した。
滑走路には、外交団一行を迎えるためアーノルド補佐官と秘書型ロイド達が待っていた。
「あら?ガヴ姉様、お久しぶり」
「玲美、今の私はカトリーナ・アーノルド補佐官です」
「失礼しました、補佐官殿」
その後、軍事機密上C-2を隠蔽するために格納庫に収納したが、同空港で一番大きい格納庫を2棟使用せざるを得ず、英国関係者にはその飛行機の大きさが驚きであった。
「玲美さん、F-1を組立するのにどの位時間が掛かるの?」
「えーと、兵器類の取付を含めて30秒位かな?」
「え?そんなに早く出来るの?
それでは、英国側の技術スタッフへの技術指導が出来なくなるじゃないですか」
「三木さん、その点は大丈夫です。ガヴリエル姉様に手伝ってもらえれば1分位で済みますから」
「へ?1分で教育出来るの?」
「三木さん、技術スタッフを呼んで来て下さい」
「うん、分かった」
ガヴリエルと玲美は、互いをテレパシーで意思疎通しているため、次の行動に移るのに説明が必要なく、次は何をするかを理解しているため2人の行動はスムーズであった。
「玲美さん、連れて来たぞ」
「そこに並ぶように指示して下さい。それではお姉様、お願いします」
技術スタッフと整備技術者は10名程いたが、ガヴリエルが一瞬にして彼等の精神操作を実施したことで、半ば催眠状態になった。
次にガヴリエルは、玲美の額を自分の額に付けるように指示した。
「玲美、この戦闘機の技術、設計図、英国に渡したい技術等を貴女の頭に思い浮かべてね」
ガヴリエルは玲美からのデータ譲渡が終わると、今度は技術者達の脳内にテレパシーで技術データを送っていた。
その間、玲美は胴体以外はバラバラになっていた部品等を、次々と空中浮遊させて、ほぼ瞬時に近い時間でF-1戦闘機を完成させていた。
「ガヴ姉様、後はヨロシク。私はロンドン市内観光と大英博物館見物に行って来まーす」
玲美はF-1戦闘機を組み上げて、ロンドン観光が目当てで大急ぎで格納庫を飛び出した。
「フフフ、あの娘は相変わらず自由奔放ね。私達天使の中では一番のメカ好きで、超科学技術者の端くれなのに、何故かレトロな機械が大好きなのよ」
「確かにそうみたいですね。旧式の61式や74式戦車を見た時は、戦車萌えの女子達とあまり変わりありませんでしたから」
「さて、三木さん。私達は宮殿に向かいますか」
「ハイ、補佐官」
ガヴリエルと三木は、ヒースロー空港からバッキンガム宮殿に移動し、到着すると国王執務室横の応接室に案内された。
「これはエトレーヌ王女殿下、初めてお目に掛かります。
私、日本国特使 三木 隆 外交官です」
三木は貴族の礼式に則り、少し片膝を曲げて王女の右手を取り、その手の甲にキスをした。
「三木殿、遠路遙々御苦労様です。
貴男方がお持ちになった戦闘機ですが、いつ組立が終了するのですか?」
「えー、今日の夕方までには。(実際は、もう既に完成しているけどね)」
「まあ、そんなに早く出来るのですか?
それと、我が英国側の技術者や整備スタッフへの教育指導はどうなっているのでしょうか?」
「ハイ、その点はコチラにいるアーノルド補佐官が対処していますので」
「王女様、三木外交官から新型戦闘機の設計図を頂いていますし、他にも技術提供をしてもらっていますから御安心を」
「早くその戦闘機を見ることが出来ないかしら?」
「技術者達の作業を我々が見学することは、彼等の集中力と労力を割くことになり、多分邪魔することと同じで、それだけ完成が遅れてしまいます。
今日の午後4時までには間違いなく仕上がっていると思います。
それと実物ではありませんが、こういうモノで良ければお見せ出来ると思います」
三木はすかさず胸元からタブレットを出して、王女に三木一行が乗ってきたC-2と英国側のプロペラ機が並んでいた時に撮影した画像を見せた。
「まあ!こんなに大きい飛行機があるのですか?こんなに広いと車も楽に入りますよね。それにこの板のような形で絵が映し出される機械は凄いですね」
「ハイ、殿下。コレはタブレットというモノで、電子部品関係は我が国の得意分野の産業ですから。それより話を戻して、重戦車は重いのでこの貨物機には積載出来ませんが、装甲車ならば2台ほど入るかと」
そのやり取りを見ていたチャールズ首相は、タブレットのある画像に注目して、三木に質問していた。
「三木殿、その飛行機にはプロペラが無いのだな」
「ハイ、ジェットエンジンで飛ぶモノです」
「ズバリ聞くが、この飛行機の速度、高度、航続距離、積載重量等を教えて欲しい」
「そうですね、公開されている情報だと、速度は音速は出ませんが最高速度でマッハ0.82(917km/h)、高度は4万フィート(12200m)、航続距離は空荷で9,800km、積載重量は最大で36トンですか」
「す、凄い性能だ。900km/h以上の速度ならば、我々の最新戦闘機でも追い付くことが出来ないし、4万フィートの高度も絶対無理な高さだ」
「あ、そうそう。チャールズ閣下、空港で貴国が用意した燃料は、我々が求めるジェット燃料と性能が同一で、品質も良いとパイロット達も喜んでいたことをお伝えし、改めて御礼を申し上げます」
「そうですか、日本では既にジェット機を運用されているとは、大変素晴らしいことです。
我が国も、現在ジェットエンジンを開発中ですが、なかなか上手く行かないのが実状です。
今回、日本側が提供して下さるジェット戦闘機は、どの位最高速度が出るのでしょうか?」
「そうですね、巡航速度で軽く音速を超えるとだけ説明しておきましょう。
後は今夕の楽しみにして下さい」
「巡航速度で音速超えですか、、、ハハ」
「閣下、お話し中ですが中座致します。
済みません、補佐官と今後の打ち合わせの話をしたいもので、少しの間で彼女をお借り致します」
「どうぞ、どうぞ」
三木とガヴリエルは応接室を出て、別室に移動した。
「アラ?三木さん。私を口説く気なの?」
「とりあえず冗談は止めて下さい。
今の現状では、格納庫の英国側スタッフはどのような状態なのですか?」
「ズバリ言うと、寝ているみたいなものね。
睡眠学習というか、私が普通の人間にデータを送り込むと、そのデータ量の膨大さに耐えきれず、大概の者は失神します」
「寝ているというより、失神ですか」
「ココが人間の脳の素晴らしさで、その失神している間に脳内で自分に必要なデータを取捨選択し、そのデータを自分の知識として身に付けるのです」
「失神している時間はどの位ですか?」
「そうね、午後3時位には起きると思いますよ。
その頃には、多分レミエルも戻って来ますから」
「今は玲美は何処で何をしているのですか?」
「あの娘はね、鉄道博物館に行った後、市内見物がてら大英博物館に立ち寄り、オーパーツを見て喜んでいたわ」
「オーパーツですか?」
「多分、レミエルが生まれる前に私とサリエルが地上に降り立った時に使用した宇宙船を当時の人々が目撃し、その船を真似たモノでおそらく金属で出来たモノだと思います」
「凄いですね、ガヴリエル様は。
どうしてそこまで玲美の行動が分かるのですか?」
「その前に私に敬称は要りません。
ココの公では『アーノルド補佐官』ですが、私的には『ガヴリエル』と呼んで下さい」
「分かりました、ガヴリエルさん」
「ううん、ダメね。『ガ・ヴ・リ・エ・ル』ですから」
「ハイ、ガ、ガヴリエル」
「フフフ、話を続けますね。
実はガイア様と私の限定能力で、私は他の天使達の思考をどんな遠隔地にいても瞬時に読み取り、その天使達の意思を私の意思でコントロールすることが可能なの」
「それは、ミカエルが天使長と呼ばれているモノみたいですよね」
「私が直接コントロール出来ない天使はミカエルだけです。
ちなみにガイア様は全ての天使をコントロール出来ますから。
それと、ミカエルの能力は戦闘型の沢山のバトルロイドとアーマーロイドをコントロールする能力で、過去にミカエルとルシファーとの争いを見た人々が天使の姿を模したバトルロイドがミカエルに率いられている姿から、ミカエルを天使長と思ったのでしょう」
「ふむ、なるほど。
今の話からガヴリエルが、真の天使長と言っても過言ではないですね。
ガヴリエルの他の能力は何でしょうか?」
「ハイ、全人類の思考をコントロールする能力でしょうか」
「うわ、ガヴリエル。或る意味その能力は怖いな。
だけど、その能力で戦争を止めることは簡単じゃないですか」
「三木さん、この能力で戦争を止めることは可能です。
ガイア様は遥か昔、この地球とは別の惑星に居住する全人類の思考をコントロールして、争いごとや戦争を無くしたのです。
ところが、思考制御するとやる気とか向上心が無くなり、まるでロボット化したようになり、文明が発展せずに衰退する一方で、最終的には人の姿をしたサルと変わり無くなるほど、文明が衰退してしまったの」
「だけど、殺し合いよりは良いかと」
「それだと地球という檻の中で、サルを飼うことに変わりはないですし、神々達管理者が惑星をいちいち管理する必要が無いですよね」
「それは確かに」
「三木さん。過去の地球上で、サルを遺伝子操作により進化させて猿人の知能レベルまで高めたことがあったのですが、サル本来の残虐性が強調されて最終的には全てのサルが争う全面戦争状態になったことがあるのです。
結局、中央管理局は進化したサルを滅亡させるため、進化ザルのみ伝染するウイルスや地球環境を激変させて氷河期を何度か到来させることで、進化ザルを絶滅させて、大人しい類人猿や小型の原始サル等が熱帯に生き残ったの」
「ふむ、それが類人猿が熱帯にしかいない理由なのですね」
「人類に限らず、地球型惑星に住んでいる生物は、激しい生存競争をしながら生命の種を繋いでいるの。
人間も神の手が加えられていますが、その生物達と同様に地球に生きる生物の性として、地球生物の生存競争の歴史が遺伝子に刻み込まれ、他と競い合うことが宿命付けられているのです。
故に人類の歴史は戦いの歴史であり、その戦いがより良い文化や科学技術の向上に繋がるわけなのです」
「そうですか、人間は生まれながらにして争い事、戦うことを宿命付けられているわけですか」
「そんなに悲しい顔をしないで下さい、三木さん」
「人類の文化発展上、人々が競い合うことで科学技術や文化等の向上に繋がるわけで、神々は人類の思考制御を行うことは人類の退化に繋がるため、それをあえて封印したわけなのです」
「そういう深い理由があったわけなのですね。
ガヴリエル、生意気言って済みませんでした」
「そのように紳士的な態度を取る貴男は好きよ」
「いやー!照れますね。
ガヴリエルのような魅力的な女性から『好き』と言われるのは」
「三木さん、その恋愛感情は勘違いしないで下さい。
まず先に説明すると、神々達の管理者やその神々に造られた私達天使達は、基本的に性的に奔放なのです。
神々達は精神体の状態では、あらゆる人間的な欲求等は無くなるのですが、遥か昔に人間型生物であったことを忘れないため、定期的に人間型生物の肉体に精神体を融合させて人間的感覚を楽しむわけなのです。
その神々達の一番の快楽はセックスであり、神々も男神と女神が存在しますので、神々同士でセックスします。
それが飽きると地球型惑星に降臨し、その惑星居住の人間型生物とセックスするわけなのです」
「はぁ~、ギリシア神話などの神々の肉体の宴は実話だったのですね」
「そうよ、その証拠に沢山の超人が伝説になっているでしょう。
ヘラクレスとかアキレスなどの英雄ね」
「ガヴリエル。このような事を説明するのは、俺を誘っているのですか?」
「三木さん、御免なさいね。
私がH的に先に狙っているのは、貴男の上司である『中破総理』よ」
「え?中破総理には沙理江さんが、妻のごとく世話していますが」
「たまには姉の威厳を見せることも大事だし、ガイア様が愛した男をつまみ食いしたいというのも半分本音ね」
「ハハハッ、姉の威厳でつまみ食いですか」
「現在は沙理江が秘書兼妻、否、愛人として総理を支えていますが、ラジエルとレミエルも自分のストレス解消として、沙理江と一緒に肉体関係を結んでいますよ」
「へ?そ、それって中破総理がハーレム状態で、随分羨ましい話です」
「それより、三木さん。正直言って貴男は玲美をどう思っていますか?」
「機械オタクな女子でしょうね」
「フムフム、なるほどね。今、貴男の心の中をトレースしました」
「え?トレースって、もしかして俺の考えを読まれたの?」
「ハイ、確かに。三木さんが玲美の事を好きなのは分かりました。
出来れば、ガールフレンドかセフレ、若しくは恋人以上になれば良いと考えていましたね」
「うわ、怖いな。ガヴリエルは」
「レミエルとすれば、確かに総理と関係して、3P、4Pする軽い女と見られるかも知れないけど、それは天使が最初に神々達にデザインされた奔放な性格が故に他の者と性的関係を結ぶわけなの。
だけど、一人の人物を精神的に好きになると、仮に別の男性とセックスしても、心は精神的に好きになった人物の方を向くわけなの」
「つまり、セックスと愛する感情は別物というわけですか」
「そのとおりよ、三木さん。流石に理解が早くて助かる。
レミエルが三木さんを選んだ理由は、こういう部分なのかも知れないわ」
「え?玲美が俺を選んだ理由って、何?」
「この後、格納庫でのデモンストレーションが終了すると、歓迎晩餐会を開く予定のはずですが、貴男は玲美の愛を素直に受け取ってくれれば、私の仕事も今後やりやすくなるため、改めて協力して下さいね。三木さん」
「あ、ハイ、分かりました」
この別室での話し合いの後、2人は応接室に戻った。
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