15話 ガイア降臨 その3



「補佐を付けるとは、秘書みたいなものですか?」


「確かに対外的には秘書ね。

 私の相棒の一人で、貴男の監視役兼愛人若しくは妻役かな?」


「え?秘書の他に愛人?または妻ですか?」


「中破さん、転移時までの数年間に準備することがかなりあります。

 そのためには、中破さんに総理大臣になってもらいますから。

 そのお手伝いをするのがこの娘です」


 中破はガイアから補佐を付けるという話をされた時点で、戸惑い始めていた。


「中破さん、なぜ貴男に秘書兼愛人を付けるかというと、監視役というよりもスキャンダル防止なんですよ」


「しかし、いきなり愛人とか妻役と言われても」


「サリー、中破さんにご挨拶しなさい」


「ハイ、ガイア様。私、先程挨拶した『サリー・フォスター』です」


「個人的には美人な外人娘は好きですが、対外的に私の秘書となると国籍条項が引っ掛かる可能性が高いのですが」


「フフフ、サリー。もう一度中破さんにご挨拶しなさい」


「改めて、私は『高田 沙理江たかだ さりえ』と申します。

 今後とも末永く宜しく願います」


「あれ?先程のフォスターさんは、金銀混じりのアッシュブロンド風のロングヘアーの髪型で、顔付きは西洋人で目はブルーだったと思いましたが。

 しかし、この沙理江さんは黒髪のロングヘアーで、顔付きは現在的な日本人女性の卵型美人顔で、目の色は黒色に変わっています。

 だが、服装は全く変わってないということは、沙理江さん自身に変身機能があると思いますが」


「パチパチパチ、大正解です。素晴らしい観察力と洞察力です。

 流石に私が見込んだ人物だけありますね。

 サリー、しっかり中破さんをサポートし、彼を愛して守り抜くのですよ」


「ハイ、ガイア様。この身が滅ぼうとも任務を全うしたいと思います」


「あのう、元々沙理江さんは『大天使サリエル』さんでしたよね」


「ハイ、中破閣下」


「おっと、忘れるところでした。

 サリーは元々は『大天使サリエル』で、1万年間、、、、、」



 ガイアはサリエルについて、中破に説明を始めた。

 遥か昔、各管理者(神々)の助手として中央管理局から派遣されたのが、大天使と呼ばれている者達であった。


 天使達は元々アンドロイドと呼ばれている機械体で、機械体ながらも超AI機能により、神々の考えを先読みして行動を起こすほど優秀なアンドロイドであった。


 天使達のアンドロイドのタイプも2種類あり、大まかに区分すると戦闘型と籠絡型に分かれ、戦闘型はバトルロイドで、戦闘型の強化版がアーマードロイドと称し、核爆弾かレーザー兵器、またはレールガン等の強力な武器でなければ破壊出来ない程の戦闘力を有し、神々の御業と呼ばれるシロモノであった。


 一方、籠絡型はセクスロイドで、ズバリ性機能付アンドロイドであり、この籠絡型も隠密行動を取れる戦闘能力の高いモノもあった。


 当初、ガイアに中央管理局から派遣された天使達はバトルロイドであり、超古代世界は物騒であったため、バトルロイド8体でガイアの身を守った。

 だが、そのバトルロイドの中で一番戦闘力が高い『ルシファー』のAI機能付電子頭脳が暴走し、神々に対する反逆行為をしてしまったわけである。


 そこで、バトルロイドの中で神々の次に戦闘能力を持つ『ミカエル』を戦闘指揮者として、アーマードロイド2体でルシファーを捕獲して彼の電子頭脳のプログラムデータを書き換えたわけである。


 なお、余談だが宗教画に描かれているモノで、ミカエルがルシファーを踏ん付けているモノがあるが、あの絵画は半分以上が事実である。

 ただ、アレはルシファーの反逆ではなくて電子頭脳の暴走であったとは誰も思わないであろう。



 話を戻して、ガイアは地球に赴任当初は第2級宇宙管理神だったが、10年前に第1級宇宙管理神に昇格した。

 その昇格祝いの副賞で七大天使全員をアンドロイドの機械体から、神々が使用しているブランク体と同等のバイオロイド体を使用して、機械体の電子頭脳から意識と感情を抜き出し、バイオロイド体の有機脳にインストールし、現在の天使達になったわけである。


 元々、七大天使は神々を守護するためのバトルロイドであったが、バイオロイド体にも戦闘型と同様の機能が搭載されていた。

 ただ、素手のみだけの近接格闘や銃撃戦等はバトルロイドの戦闘力には及びも付かないが、刃物や銃器等の武器使用の戦闘力は、バトルロイドの戦闘力を遥かに凌ぎ、特殊部隊の1個中隊を1人で約5分程度で殲滅出来る程の戦闘力を有していた。


 むしろ、戦闘力よりも優れた能力が与えられたのは、神々が持つ能力の一部の特殊能力であった。


「もの凄い能力ですね。天使達の能力と比較すると、映画のXナントカの能力は赤ん坊並ですね」


「だって、天使達の能力は神々達を補佐するための能力ですよ。

 天使達は神々達が本気を出して能力を与えた結果ですから、彼等が天使達の能力を超えることは絶対ありませんね」


「映画の悪役で物凄い能力を持つ者がいますが、神々達の能力はそれ以上なのですよね」


「ああ、私にすればあんな者は鼻クソ同然の能力ですよ。

 だって、私自身は地球全体、否、太陽系全体を丸ごとコピー、バックアップ出来るだけの惑星操作能力があるし、天使達全員とアーマードロイド、バトルロイドの全てが私一人に戦いを挑んだとしても、私に傷一つ付けることは出来ないでしょう」


「ホントに済みません。神様達の力を疑う愚問をしてしまいました」


「良いのですよ、中破さん。決して私達神々や天使達を怖がらないで下さい。

 この能力は人類を生かすため、護るための能力と思って下さい」


「ハ、ハイ!分かりました」


「ま、中破さん。取りあえずサリー、否、日本名は『高田沙理江』を貴男の側に置いて行きます。

 彼女を秘書、愛人、セフレ、女房替わりでも、どんな雑用でもこなします。

 それに彼女は貴男を超大好きですから」


「え?初対面の男に超大好きとはどういうことでしょうか?」


「サリーは人類の魂の分離作業で、人の生死に関わる仕事を長く続けました。

 その間に扱った善人、悪人等の様々な人間の人生について、AI電子頭脳に経験として蓄積されて、それが有機脳の感情に大きく影響を与えました。


 彼女はその経験から、瞬時にその人が善人か悪人であるかを見抜きます。

 そして、基本的に善人が好きですが、その善人が何処まで正義感を持ち合わせているかが、彼女がその人を大好きになるかを判断する基準みたいです。


 私は貴男の基礎データを彼女と彼女以外の天使達に与えたところ、サリエル自身は貴男を超大好きな人であると判断しました。

 そして、彼女自身から貴男の秘書を希望したのです。

 サリーの容姿は、変身機能で中破さんの好みにピッタリだと思います。

 問題は性格的な部分だと思いますが、多分価値観は似たようなモノを持っていると思いますよ。

 そのサリーを是非貴男の側に置いて活用して下さい」


「分かりました、ガイア様。改めて沙理江さんを秘書に致します」


「中破閣下。沙理江です、秘書として務めますので末永く宜しく願います」


「それと言い忘れましたが、天使達のバイオロイド体は、戦闘型ロイドの形質を継承していますが、同時にバイオロイド体特有の人間的部分として、セクスロイドの能力を有しており、人工子宮を備え妊娠能力も持ち合わせています。

 流石にオリジナルの卵子は備えていませんが、ブランク的卵子ならば遺伝子操作により、男性のクローン体の子供も受胎可能ですし、人間女性から卵巣を移植提供されて体内に保有することが可能であり、卵巣を自由に排卵させてSEXで受胎することも可能で、母乳が出るため乳児の育児も可能です」


「人間女性と同じ出産能力を有しているとは、物凄い能力ですね」


「一応、私は神様ですから。

 それと、天使達は普通に食事をしてエネルギーを補給します。

 また、人間体のように小腸や大腸が存在しないため、腸内細菌は存在せず、細菌の死骸が大部分を占める大便は排出しません。

 そのため、食事からエネルギー吸収した残りカスは尿から排出出来るようにナノレベルまで分解していますし、それに必要に応じて汗、涙、愛液等を分泌します」


「実に便利ですね。絶世の美女からウンコが出ないなんて」


「一応、肛門はSEX機能として変態的愛好者のために備えてありますね」


「ガイア様。まさしく至れり尽くせりですね」


「今回の歴史改変の準備について、私が手掛ける部分はほぼ終了しています。

 さて、私も1万年ぶりに殿方である貴男とHしようかな?」


「(えっ?はっ?この神様って、1万歳以上の婆さんで俺とHするの?)」


「中破さん、決して私を婆さんと思わないで下さい。

 神族の平均寿命は10億歳で、あくまで精神体寿命が長いだけで、私自身の肉体年令は25歳であり、サリエルの肉体年令とほぼ変わりありませんから」


「(ギクッ、心をつい読まれてしまった。ここは素直に謝罪を。)」


「本当に済みませんでした。つい不謹慎な事をつい考えてしまいました」


「分かりました、罰を許す代わりに私とこれからデートとアレをしますか。

 勿論、サリーも一緒の3Pで。ウフフ」


「(え?体力持つかな?)」


「大丈夫ですよ、サリーは一流のヒーラーであり、セラピストですし、今日は金曜日で明日は休日ですから」



 中破は、人間諦めが肝心と心の中で改めて思っていた。

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