死後の楽園!? ユーパラ
涼木 風太
第1話:霊の居場所
霊界。死んだ生き物たちの世界。しかしここの霊界は今までとは違っていた。
新しくたくさんの死んだ者たちが霊界で意識をはっきりさせ、ワラワラする中、
マイクを使った少し年老いた、でも発音のハッキリした男の声で
「皆さん、注目!この世界の管理統轄者よりご説明があります!」と
アナウンスが流れる。声を発していたのはその空間の前右隅にいた司会進行役のチョビヒゲの白いユーレイだった。
そして、青い星のついた紫の帽子をかぶった脚の無い白いユーレイが周りの者よりちょっと高い壇上に上がってマイクで言う。
「どうも皆さんこんにちは。この世界の管理主任のウィッチです」
名前はウィッチだが声は男のもので、どうやら男性のようだった。
「ここにお集まりの皆さんは人間界で死後、上手く成仏できなかった人たちです。しかし、20●●年4月1日よりそう言った成仏できなかった幽霊を人間界に放置することなく、適切に管理するためにこの"必要霊界グレイブタウン(墓地町)"を神様はお創りになられました。ですが、成仏ができないものはできないですし、映画のように人間界に残されたあなたがたの関係者たちが、あなたがたの成仏のために動いてくれてそれが成功するなんてことはまずありません。まぁ、いつまでもずっとここにいてもらうという訳でもありませんが、一応、そう言った基本的に成仏できない生き物たちのためのこの必要霊界です。ですから、成仏できんだかできないんだか、生まれ変わるんだか生まれ変わんないんだかわかんない、仮とも言える、仮とも言えない生を無難に謳歌してください。ちなみに他の方々に迷惑をかけますと公務執行妨害となり強制拘束、ひどい場合には地下牢獄行き、もっとひどい場合には永遠の闇に葬られますのでお気をつけください。なにとぞよろしくお願い致します」
ウィッチ主任が説明を終え、壇上を降りると、
チョビヒゲユーレイが最後に締める。
「ウィッチ管理主任ありがとうございました。
では、以上をもちまして必要霊界グレイブタウンの新規加入者に対する説明を
終わらせたいと思います。では、秩序を乱すことだけはお控えいただいて、
他の方々に迷惑にならないようお好きなように悠久の時をお過ごしください。解散!」
とても大きな自由をデンッ!と与えられたが自由過ぎてどうして良いかわからない戸惑う新規加入者の霊たち。
とりあえずその場から少しずつ去り出し、各自散らばって行く。
大丈夫だ。既に死んでいるんだからもう怖いものは無い。
霊だから時間もいくらでもある。
これらを絶大なアドバンテージと思う者も少数いたが、
死んでなお有利もクソも無いことには誰一人として気づいていなかった。
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