#11怪盗Zからの予告状事件
「今度新しい食器洗い乾燥機の事で相談しようと思ってたのよ」
母さんに電話をかけたら第一声がこれで、ついスマホを落としそうになった。
「それは後で聞くよ。今すぐ母さんの力を借りたいんだ」
「どうしたの?」
母さんの口調が真剣味を帯びる。
「あの怪盗Zから予告状が届いたんだ」
“今宵十一時
名画三種の神器の贋作を頂戴する
警察諸君止められるものなら止めてみたまえ
怪盗Zより“
送られた予告状を食い入るように見つめていた母さんが顔を上げる。
「狙われている三種の神器というのは?」
僕はメモを読む。
「芸術家
でもどの絵が狙われているかは分からないからスイ姉達が手分けして美術館に行ってる」
「だから今日は人が少ないのね」
母さんの言う通り、今日の警察署は人がまばらで最低人数しかいない。
「でも四つの場所を同時に守るには人手が足りないんだ。せめて何が狙われてるか分かればいいんだけど」
「お母さんに任せて。狙われている絵を見せてくれる」
僕は四枚の写真をホワイトボードに貼り付けると、母さんはお気に入りの飴を舐めた。
一枚目は《三種の神器》
白黒テレビを見る子供、
冷蔵庫から飲み物を取る父親、
洗濯機を使って洗濯する母親。
二枚目は《新・三種の神器》
お酒を飲みながらカラーテレビを見る父親、
クーラーで涼む母親、
家の自動車に興奮する子供。
三枚目は《デジタル三種の神器》
自室でデジタルカメラをいじる父親、
薄型テレビとDVDレコーダーを取り合う少年と母親。
衣類乾燥機に洗濯物を入れる母親、
IHクッキングヒーターでおつまみを作る父親、
生ゴミ処理機にゴミを持っていく少年。
正直僕には、いくら絵を見てもどれが本物で偽物か見分けがつかない。
四枚の写真から目を離した母さんは微笑みを称えていた。
その笑顔が意味するところはひとつ。
「お母さん謎が解けました。すぐにスイちゃん達に連絡して」
お母さんの推理は当たり怪盗Zは現れなかった。
しかし僕たちが引き上げて数日後。贋作から本物にすり替わった絵に怪盗Zの手紙が挟まれていた。
“ご名答
腕は衰えていないようだな
また我輩と勝負しよう名探偵さん
怪盗Zより“
問い、お母さんはどれが贋作だと見抜いたでしょう?
母
さ
ん
の
推
理
が
こ
ち
ら
↓
↓
↓
↓
↓
答え。
四枚目の《キッチン三種の神器》よ
衣類乾燥機が描かれていたけれど、実際提唱されたのは食器洗い乾燥機なの。
あなたの三種の神器は何かしら?
お母さんの三種の神器は、
全自動洗濯乾燥機と食器洗い機とお掃除ロボットよ。
また謎解きに挑戦してね。バイバ〜イ。
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