#9窓に写る人影事件

「ヒッ」


 対面に座るスイ姉の悲鳴を聞き、僕は昼食を食べる手を止めて彼女の方を見た。


「どうしたの?」


 スマホを見つめたまま顔が真っ青のスイ姉は、微かに震える手でスマホの画面を見せてくる。


 部屋の中で撮ったようで、窓を背に三人の女性が写っていた。


 間違ってフラッシュを焚いてしまったようで、三人とも瞼を閉じている。


「う、うん。昨日の夜遊ぶ約束してたんだけど事件が急な事件が入っていけなかったんだ。その時に撮った写真みたい……」


 スイ姉は自分のスマホから距離を置くようにテーブルの上に置いた。


「窓、窓のところよく見てみなよ」


 改めて三人の女性の後ろにある真っ暗な窓を注視すると……。


「あっ」


 それを見つけて声が出てしまった。


 長い黒髪で顔が隠れた半透明の女性が窓に写っていたのだ。


「これって……」


 首筋を冷たい手に撫でられたような気がして鳥肌が立つ。


「そう幽霊だよ!」


 小さい頃からお化けが大嫌いなスイ姉は今にも泣き出しそうだ。


 二人とも見たくないはずの写真から目が離せなくなっていると、タイミングよく着信音が鳴った。


 同時に驚き、慌てて電話に出ると母さんからだった。


『もしもしコーくん。今日は帰って来れそう? お夕飯のリクエストあるかしら?』


「あ、あー母さんか」


 安堵のため息を吐くと同時に、もしかしたら何か分かるかもしれないと、心霊写真の事を話してみた。


 話を聞き終えた母さんが沈黙して一分ほど経っただろうか。


『お母さん謎が解けたわ』


 明るい声が耳に届き、それだけで恐怖が和らいだような気がした。


『スイちゃんに伝えて。その写真は合成写真よ』



 問、何故母さんは合成写真だと分かったのでしょう?



 答

 え

 は

 こ

 の

 下

 に

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓



 答、室内でフラッシュを焚いたら外よりも明るくなるわ。

 窓が閉まっていたのだからその窓は鏡のようになって室内が写るはず。

 だからその写真は合成写真よ。

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