第10話 爆発とイベント

「いやぁ、今日の狩りも順風満帆だったねぇ!」


2人の少女――カナとセシル――は街の喫茶店に座っている。狩りを終えて寄っているらしい。


「んで、話って何なの?」


「うん。運営のメールは見た?」


セシルはウィンドウを開きながら、カナに問う。


「読んだよ。来週開催される半周年記念イベントでしょ」


「それに一緒に参加しようっていう話なの」


ガンバトルオンライン半周年を記念するイベントはチーム戦形式のバトルロワイヤル。1チーム4人で正方形のフィールドに放り出されてその中で戦うもの。参加プレイヤーは2日間そのフィールドに出入りすることになり、ログアウトもログインも可能だ。


「うん。いいよ! ……でも私達2人しかいないよ?」


「そうだった! うーん、どうしようか。そこらでスカウトする?」


少女2人は悩んだ。そして悩んで思いついた。


「あっ! アルガさんならいいんじゃない?」


「えっでも……、アルガさんもパーティー組んでるんじゃないかな」


「まあ物は試しでやってようよ! じゃメッセージ送っとくね」


「ちょっ! ……まあいいか」


アルガと表示される画面に「よかったら今度のイベント、一緒に参加しませんか?」と打ち込み送信ボタンをおす。


しばらくたつころに新着の表示が出る。タップしてなかを見ると「あぁいいぜ。とりあえず紹介したいやつがいるからこっちこれる?」と表示された。2人でハイタッチして、返信を済ませると指定された場所へと向かった。


その場所には中世の名残を感じるような建物が立っていた。ゆっくりと扉を開く。すると何度か聞いたことのある声が聞こえた。


「よお。待ってたぜお2人さん!」


そこにはアルガと、見知らぬ女性がいた。アバターなので何とも言えないが、おそらく30代ほどだろうか。


「ん? アルガどうしたのこの2人。まさか……」


アルガが反応するより早く、にやにや笑いながらセシルが答えた。


「そういえば今日とある人にズボン降ろされそうになりました!」


「なっ!? ちょっ待ってくれ!」


女性が通報ボタンを押そうとしているのをアルガが必死に抑える。しばらく攻防が続いて、ようやく手を降ろした。心底ほっとしているアルガを横目に、女性がしゃべり始めた


「いらっしゃい。私はサチ。2人は?」


「私がセシルでこっちがカナ。アルガさん会ってほしい人がいるといわれてここへ来ました」


「なるほどね。でもそういうのあんまり信じない方がいいよ? あんなことやこ………」


「ストップ! で、サチ。今度のイベントで4人チームを作るらしいから、お前も入ってくれよ」


「なんでアルガはもう入ってるのかしら? もしかして………。まあいいわよ」


カナとセシルとサチでフレンドになった後、4人でパーティーを組んだ。そのままイベントの参加登録もしておいた。


「じゃあ明日またここに!」


「「「了解!」」」


今までの2倍の声が響いた後、各自でログアウトしていったのであった。

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