ガンバトルオンライン〜爆発好きはグレネードだけで戦おうと思います〜

エンジョイ

第1話 爆発とグレネード


「グレネード全部ください! 買えるだけ!」


「 はい? 」


ここは銃で戦うVRMMO「ガンバトルオンライン」の中。始まりの町の道具屋で、一人の少女の動きが固まる。アホを見るような目で、隣の少女を見つめる。


「カナ? そんなに買ったら銃や装備が買えないよ?」


「いいのいいの。爆発こそ正義、至高!」


カナと呼ばれる彼女は、グレネードを受け取りながらそう答えた。屈託ない笑顔で答えているが、武器も買わずグレネードにすべて注ぎ込んだわけである。


「さぁさぁ! 武器もできたしセシル、早くモンスターと戦お」


「ちょ、ちょっと!? グレネードだけじゃ無理だって!」


フィールドへと走っていったカナを、もう一人のセシルと呼ばれた黒髪に眼鏡の少女が慌てて追いかけていく。肩にはアサルトライフルを掛け、腰に拳銃を提げていた。


「ま、待ってよ! カナは銃も無しにどうやって戦うのよ」


「セシルはここにたくさんのグレネードがあるのが見えないの? モンスターを爆破

できるじゃない!」


グレネードは威力こそ高くてそこそこ安いが、誘爆の危険があるなどして不人気なアイテムだ。武器も何ももたずにそんなものだけ持っていても気休め程度にしかならないのだ。


そう思っていると、二人から100メートルほどの場所に牛人のようなモンスターが現れた。カナ達を見つけて走ってくる。それを見てセシルはつぶやく。


「Bランクモンスターだ……」


運悪いことに、こちらに近づいてくるモンスターはここらで出現する中で一番強いレベルだった。通常5、6人ほどのパーティーで協力するものだ。


しかし、モンスターのほうが移動速度は速い。さらに、もう50メートルほどに近づいている。


仕方ない、戦うしかない! そう思って走るのをやめて銃を構え、引き金に手を触れた。


「あれ?」


セシルは打とうとした、がモンスターの姿が見えなくなった。少し戸惑ったが、視線をずらすとすぐに理解した。モンスターは倒れたのだ。顔から煙が立ち込めていて、手で押さえている。


なぜ? と思ったセシルだが、その疑問もすぐに解決した。カナの投げたグレネードが、モンスターの顔面に直撃し爆発したからである。カナが、昔から運動神経がいいことを思い出した。


「よーし、どんどんいくよー!」


カナが再びグレネードを投擲する。モンスターの足付近で爆発する。セシルはその場で、口を開けたまま棒立ちすることしかできなかった。

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