プーカ島のよき隣人たち
たぬき よんろう
第1話 プーカ島と冬の王さま
海のはてにあるおおきな
子どもたちはどの家でもわくわくとまどのそとへまなざしをおくるようです。
さあ、冬が来たぞ。「冬の
きのう、夕日が海へしずむころ、大ハマグリのヨットに
王さまは、
いちばん
漁師たちはあたまを下げて王さまを見おくります。
王さまは冬の
このタラは島でいちばんひもじい思いをしているだれかのもとに、その
王さまは島中をいく日もかけてゆっくりとめぐり、ある夜たいせつな
人の子どもたちとおなじくらい、この仕事を
あかくて丸いあたまにはぷよぷよのでっぱりがみっつと、お耳とおおきな目と茶色のくちばし。せなかのつばさとしっぽは、きげんがいいとぱたぱたゆれます。
プーカ島のまんなかにある「りゅうの森」に、この生きものは
りゅうの子には人のことばはよくわかりません。わかるのは、にわとりとひきがえるのことばだけです。それというのも、あかいりゅうの子のお母さんはにわとり、お父さんはひきがえるだからなのでした。
おんどりがたまたま
家ぞくはなかよしで、りゅうの子はやさしく
花がすき、鳥がすき、海がすき、春がすき、夏がすき、秋がすき、そして冬もすき!
冬の王さまと会うのはりゅうの子の楽しみのひとつなのです。
お父さんは冬が来ると森の土の下でねむってしまうので、お母さんとりゅうの子は
月のうつくしい夜のことです。りゅうの子はぱちりと目をひらきました。のそのそと小屋を
ちょこちょこみじかい足をけんめいにうごかして行くと、むこうからひげを光らせて冬の王さまが歩いてきました。うでにしろいものをかかえています。
あかいりゅうの子は、きゃっとかぴぃとか声を上げてとびはねました。
王さまは夜ふかしのりゅうの子にほほえみかけ、ひざまずいてそっとあたまをなでてやります。王さまはあらゆる
ひんやりとした王さまの手は
それからすっと王さまが立ち上がると、いよいよ待ちに待ったときです。
王さまはかかえているものをささげ
ふるいに月の光がまんべんなくあたります。
王さまが左右にそっとふるいを
りゅうの子はわざとふるいの下に
そう、王さまは月の光をふるいにかけて、つめたくやわらかな雪をつくるのです。
木よりもうんと高く
あかいりゅうの子は
さあ、冬が来たぞ。冬の王さまが来た! 雪だ! 雪だ!
プーカ島の冬、王さまは雪をふらせてまわり、住人たちは冬ごもりをするのでした。
もちろんとじこもるばかりではなく、雪だるまコンテストもひらかれます。
子どもたちが雪だるまをこさえると、
ふらふらと歩く冬の王さまを
ふるまった家では、王さまにあげたぶんのベーコンが
冬は
王さまはあんまり
島には「笑う木」とよばれる、顔があってぴょこぴょこはねる木がたくさんいます。かれらがいっせいに笑うと春いちばんが
人びとは森の中のひらけた
りゅうの子も人びとが何を言っているのかはわかっていませんでしたが、しぐさや
と
いよいよ大笑いのようです。
祭りを見ていた冬の王さまは、やおら立ち上がると、うでをおおきくひろげました。たちまち
りゅうの子はつばさをぱたぱたして
はやくもヨットは沖へと出ていき、王さまはそのうえで手を振っています。
冬を待つ国へむかうのでしょう。
プーカ島の冬はこうしておわります。
りゅうの子はちいさな手をぶんぶんと振りながら、冬の王さまを見おくるのでした。
またつぎの冬に、雪とダンスをおどるのを楽しみに思いながら。
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