第2話催馬楽京平という男
「はぁ、、、、」
ーー合わせ鏡の怪異を知らない、というわけでもないのだが
なんでも魔界に引きずり込まれるだの、悪魔、だの平行世界だの
いろいろとうるさい
日本人にしては長身な身長を持つ彼はーー傍らの人形に手を伸ばす
等身大の和風人形ーー姫様人形だ
黒髪ぱっちりしていて、肌は透き通り、優しく両親が、タヒチにいっていていない
京平にとっては現状、ゆういつの身内でもある
催馬楽京平は、彼の義妹を操るーー彼女の体には、特殊な「霊力」で反応する
仕掛けがしてあって、それは
京平の左手にあるーー手袋で反応する
つまり簡単に言うと、人形劇における繰り糸である
「あむ、おっかれっす、兄貴」
「ああ、おつかれ」
声は、腹話術で出しているーーだから、催馬楽にとっては
じぶんで話しているわけなのだが
それでもーー誰かいる、というのと誰かいない、というのとでは全然違う
ーー具体的に言うと、病気で落ち込むかーーそれとも平常でいられるかの違い
「ああ、兄ちゃん、ねぇ、私と遊ぼ?」
繰り人形を繰って遊んでいるわけなのだが、--熟練の腕前だ
当たり前だ、ずっとずーーーっと寂しい夜をこいつともに過ごしてきたのだ
催馬楽にとって、それは呼吸するようであった
昔から、両林は家にいないことが多くーー学校が終わると友達を家に呼ぶこともなく
宿題をしてーー風呂に入って――ご飯を食べてーー寝るだけ
そんな真一二の中で義理の妹の存在がどれだけ彼にとっての希望となっただろう
「--うん、いいよ、一緒に遊ぼ?」
別に、友達がいないわけでもないーーだが、だが、家では一人だ
ーー休日は一人だ
誰かいるわけでもない、操作するーー彼女が動きたいように
自然に、ナチュラルに
「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん、なんだいまや」
ーー東屋をそう呼んでいる
ずずりと彼女は彼にしだりかけて
「抱っこして?」
「はは、しかたないなぁ、甘えん坊なんだから」
抱っこして、すりすりする
言っておくが、彼は彼女がいなければまともに生活することもできないだろう
ーーテレビもパソコンもないーー本当に一人ー「本当の孤独」
それに耐えることは人間にはできない
彼女がいればこそ、おいしい料理を作れるのだし、明日も頑張って
山を下りて、学校に通おうという気持ちにもなる
だから、すりすりする
「もう、お兄ちゃんたらしょうがないな」
「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。」
現在存在するーーゆういつの身内に甘えるように
キーンコーンカーンコーン
一時間目の授業が終わる合図だ
「催馬楽ーーこれ、はこんどいて」
「はーーーーい」
中に入ってたのはーー「特殊」な人形
それも、催馬楽の人形が、お姫様人形だとしたのならばこの人形は
小さい、兵士に見える
「催馬楽ーー?」
「は、はーーーい」
(--考えることは、後にしよう)
人形を学校の第二準備室に治す
「うわぁいっぱいありますね」
ーー青銅製の鉄器
ーー信楽焼の狸
ーーーきれいな色彩の絵がつけられたお皿
それらが、所せましと並ぶのが第二準備室だ
「あれ、こんなとこに鏡がある」
そこに、先生がやってくる
この先生は、若くて美人なのに、服装が残念というか
身だしなみに注意をはらってないというか
なんというかーーださいのだ
「催馬楽君?どうしたの、ああ、その鏡
その鏡ねーーなんでも別な世界につながってるって聞いたことがあるの
ホラーー学園七不思議よ、先生アレ好きでね~
うふふ、それよりーーまた増えたの人形?」
「え?」
他にもあるんですかという顔をしている催馬楽
「あるわよ、当然」「なんで、わかったんですか?」
「そういう顔してたじゃない」
(ああ、そういう顔をしていたのか)
少し恥ずかしい催馬楽
「--でも、一つわかんなくなっちゃったのがあってね
ほら、これなんだけど江戸のからくり使いにして天才発明家
平賀源内が作ったといわれる
特殊な「人形」
明治の戦時下において、魔改造されたって聞いてたけど」
そういって、写真を見せてくる
そこに写っていたのは「東屋」だった
「え、これーー東屋」
「東屋っていうのこれ、へーよく知ってるわねーー」
どういうことなんだと思い、家に帰るといつも通りあやつる
「よかった、いつもの東屋だ」
「?どうしたの、お兄ちゃん」
「聞いてよ、東屋あのね今日学校でね~(以下略)」
「ふ~んだったら、学校にいってその鏡の前で一回やってみればいいじゃない」
「ええ、怖いよ~」
「何言ってるの?お兄ちゃん、お兄ちゃんはやればできる子でしょ、頑張れ
やれるよ」
傍目から見ると、男と女が掛け合ってるように見えるが実際は独り相撲である
ーーあるが、
しかし、東屋がいないと参ってしまうであろうことは分かっている
「わかった、いくよ」
「それで、こそお兄ちゃん」
「じゃあ、子の刻、、、草木も眠る丑三つ時ね(2時)」
「え!」「え!」
ーーそういうわけで人形を引き連れ、夜の学校へ、鏡の前に立った
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます