父のことをふと考え、書こうって思った。

なぜだろう。

曲がりなりにも、彼女とこの先一緒に住みたいって今自分なりに頑張っている、つもり。

でも、今の自分と同じ歳のとき、父には既に9歳になる自分がいたんだなって思うと、最近よく父と自分を重ねて考えることがある。


父は既に亡くなっていて、正直自分のなかで良い思い出はない。というか、最期まで、ずっと僕は父を避けてきた。

僕のなかにある父の姿は、酒を飲んで暴れ、母に暴力をふるう。その度、母と僕は家にいられなくなり、逃げる。

まぁ、よくあるといったら、よくある話。

アルコール依存で何度か入院しても、結局最期まで酒をやめることはなかった。


そして、これは最期まで直接本人と話したことはないから、真実はわからないけれど……

僕が生まれる前か、まだ小さい頃に、覚醒剤で何度か逮捕されている、と思う。

まぁ、実際、僕の記憶にあるなかでも、飲酒運転とかで何回か警察につかまってもいるんだけど。


でも、僕は、父から暴力をふるわれたことはない。すべて母に向けられていた。

そういう父を僕は止めることができなかったし、結局、それが関わらないという態度になったんだと思う。正直、恐怖という感情もずっとあった。

結局両親は僕が成人し離婚した。

そして父は肺がんで、僕が30くらいの時?に亡くなった。


改めて、亡くなった命日どころか、年すら定かでない自分は、親不孝だなって思う。


ただ、こうやって父のことを考えるとき、「不幸な自分の生い立ち」そんなものに浸っている訳ではない。確かに、まともな家庭でなかった、と恨み?のような感情を抱いていたこともあったけど。今は違う。


やっぱりまず思うのは、こんな父だったけど、働いてお金を稼いで、自分を育ててくれたってこと。もちろん、母もだけど。

長距離のトラック運転手で、1週間に1日くらいしか家にいなくて、その休みの日も夜中には仕事に行ってるようなことも多々あった。


酒を飲まないときは本当に物静かで、特に何か趣味がある人でもなかった。

どうしても酒が入り人格が変わることもあり、友人と呼べる人もいなかったと思う。


今の自分に置き換えた時に、家族養えるかっていわれたら、そりゃ無理。

自分だけのことで精一杯の時が多いし、仕事だって正直いつだってやめてやる、そんなことを考えてしまう時もある。

彼女と一緒に暮らしたいといいつつも、やっぱり自分は変われていないことがたくさんある。


そして何より、子どもの時は、父みたいに絶対ならない、って気持ちが強くて、それが変な話勉強するモチベーションみたいになってた時期もあったけど……


今思ったら、やっぱり親子だなって。


僕は酒や薬ではないけれど、スロット。

スロットに依存して逮捕も入院もして。

もちろん、僕自身の生き方の問題だから血筋なんて関係はないけど、同じような生き方してるなって。


きっと自分も父に似てるんだと思う。

普段何かあっても、その場でどうこういうタイプではない。ぐっと我慢する。

でもそれを消化できてる訳ではないから、ストレスになる。そして、そのはけ口を求める。同じにするな、って言われるかもしれないけど。


でも多分、仮に今父が生きていたとしても、僕は会うことなく、避けてるんだろうな、とも感じる。

この気持ちは自分でもよくわからないけど……

父どうこうでなく、こんな生き方になってしまった自分を見せたくないなって。

恥ずかしさ、変なプライド、申し訳なさ、よくわからないけどね。


母を通じて、「スロットだけはやめい」って父が言いよる、と何度か聞いたことあったけど。

結局やめられず、その後母を怪我させ逮捕された、それをもし父が生きていて知ったらなんて言われただろうな、なんて考えても仕方ないことを思い浮かべてしまう。


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