5号機撤去

 1月31日をもって、スロットの5号機が撤去された。といっても、パチンコをやらない人にはよくわからないと思うけど。 

 僕が10年以上依存し続けてきたジャグラーも5号機。店には行っていないけど、おそらくもう姿を消しているだろう。ただ、全く同じような姿格好をした6号機のジャグラーが、新たに店には並んでいるはず。大きな違いといえば、大当たりした際に出るメダルの枚数が、5号機に比べ少ないということ。そんなとこ規制して、結局スロットはなくならない。

 依存性の僕が思うこと。例え姿形は同じでも、それは僕がこれまで人生を狂わせてまで依存してきたものとは別物ということ。いや、結局演出とかはほぼ同じで、同じスロットに変わりないんだけれども、6号機は僕のなかでは違う。(わかりづらい表現で申し訳ありません)

 だから、もう、これまでの負けを取り戻すことも不可能になってしまった。店に5号機がないのだから。まぁ、そもそも負けを取り戻すことなんて不可能なんだけど。でも、考え方を変えれば、これ以上負けることもないということ。

 でも、知ってる。6号機だってやりはじめたら簡単に依存することを。だって出る枚数が違うだけで基本何も変わってないんだから。


 スリップしてからというもの、結局スロットに依存した生活を再び送ってきた。夜勤終わってそのままスロット打ちに行き、休まずまた仕事へ行く。だいたい半月で給料は全部なくなって、女性に2、3万借金をして残り半月を過ごす、その繰り返し。

 貯金ももちろんできていない。7月には車検もくるけど、こんな状況では……。

 

 結局、僕はまた、スロットで失おうとしている。


 共産党の活動も全く気持ちが向かず、正直やめたい。散々お世話になり助けてもらっている女性に対し、本当に自分はひどい人間だとわかっている。

 仕事も何も楽しくない。これは言い訳、愚痴。レベルの低い人間たちと働いても、空しくなるしストレスがたまるだけ。新しいことをしたい気持ちは、ほんの僅かにだけどわいてきている。でも、一体何をしていいのかわからない。何ができるかもわからない。年齢や経験がないことを言い訳にして動かない。僕も、同じレベルの人間に変わりないよね。

 彼女とは、まだお付き合いしている。ある程度は本当のことをいえている。とはいえ、逮捕されたことや、現在進行形で借金してやりくりしていることは隠している。彼女も若い頃に自己破産していることを打ち明けてくれた。僕もしたことを笑って話した。彼氏としてどうかと思うけど、僕にとって自己破産なんて深刻になるようなことでないし。それに、彼女は今はクレジットもつくり、まともに貯金もして生きている。過去なんかより、それから今に至るまでの彼女の生き方が僕はすごいと思うし、尊敬している。

 まぁ、はやい話、彼女とはこれからも一緒にいたいという気持ちが強い。


 でも……

 結局、僕はまた、スロットで失おうとしている。

 

 


 

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