党員になるということ

夜勤の仕事になり、日中女性と一緒に行動できる時間が多くとれるようになった。

今日も、会の会員さんが固定電話を付けたいとのことで、車で一緒に訪問して取り付けたりしてあげた。

いろいろな場所に会員さんがいるので、普段は女性がバイクで行くのだけれど、遠いところは車で移動する。これまでは女性のご主人が必要なときは運転をしていた。けれど、80歳も近くなりしんどいときもあるので、僕が運転をし一緒に行動できることで助かる、と二人がいってくれる。

少しでも役に立つことができて僕も嬉しい。


そのあとは、駅で党の活動をした。マイクで宣伝をしたり、ビラを配ったり。これまでも定期的に参加していた。

ただ、僕はまだ党員ではない。女性の思いとしては、僕が前の家の未払いの家賃や、滞納している税金などを全て払ったら入党してもらいたい、と伝えられた。社会的道義を果たしてからじゃないと、ということ。それは当然だと思う。


党に入ることについては、前の章でもどこかに書いたような。そのときは、少し後ろ向きな気持ちを書いたような気がする。

でも、今は少し変わり始めたように思う。だからといって、党の全てが正しいとか、身を捧げるとか、そういう思いになったという訳ではもちろんない。


なんというか、僕はこれまで政治なんて本当に無関心に生きてきた。選挙だって数えるほどしか行っていない。その時だって何か明確な気持ちがあって投票した訳ではない。


だからこそ、こうやって少しでも今政治に関することに携わるのは、まぁ新鮮というか。それ自体が勉強になっているというか。社会を変えたい、とか偉そうなことは思えないし、当然そこまでの段階でもない。

でも、信念のようなものをもち、こうやって活動している人たちと出会えることは、僕にとっても勉強になるというか。

新聞を読み出して、多少なりとも社会や政治にも目が向いてきたというのもあると思う。


女性はもちろん、ご主人、元議員の息子さん、そして、党の人たち、ほんとみんな優しいというか親切というか。スロット依存で逮捕されたことを知った上でも。ひつこいけれど、政治なんて無関心だった自分には勉強になることばかり。わからないことがあれば、調べてでも僕に教えてくれる。


今日も女性の家で食事をごちそうになり、そのあとご主人が、今の香港の問題や、新自由主義について教えてくださった。僕が不意にわからないといったのをきっかけに、いろいろ調べ、資料までつくってくださって。


なんだろう。こう思うのは僕だけかもだけど、政治に没頭することって、なんか危ないみたいに思う人もいるかもしれない。例えが悪いかもだけど、一種宗教にはまってしまうのと同じような感覚で。

もちろん、それが危険な政治思想とか片寄った思想ならいけないかもしれないけれど。

でも、全てをそうやって考えて否定的に捉えるのは違うなって、思う。政治=危険、みたいなことは違うなって。

宣伝とかしてても、通り過ぎる人でそう思ってる人も多いんだろうなって。だって逃げるようにする人や、明らかに避けてます感出す人もいるし。

それはその人の思いだから何もいうつもりはないけれど、何かを訴えることが全て危ないことではないと思うんだけどなぁ。


でも、僕自身も、前にも書いたけれどやはりフラットな気持ちは忘れたくない。

党がいってるから必ず正しいって思うようなことはいけないと思う。おかしいなって思う部分は素直にその感覚を大切にしたい。それを無理やり変えられるようであれば、それはもっとおかしいしね。


なんかだらだらまた書いてしまったけれど、党員になるということに、自分の気持ちも前向きになってきた部分があると思う。

それは社会を変えたいから、とかいうことではなく、とにかく勉強をして、僕にとってプラスになることがたくさんあるんじゃないかな、っていう今は思いからだけれど。


とにかく、まだ今の僕はあまりに無知だから。これから経験し、勉強することでいろいろ気持ちやらも変わってくる。

ただ、今までみたいにスロットばかりやってたのでは、決して自分の人生というのは変わらないから。いや、今よりも悪くなるだけだから。


女性と一緒に行動して、会の手伝いをし勉強することで、スロット以外の方へ自分の関心が少しでもうつればって、僕自身も思うし、女性もそれを期待し僕を様々な会議に出してくれたりする。

その気持ちが何より僕にとっては嬉しい。


仕事もだけど、この人生をもっと真面目に生きてみたいって気持ちが芽生えだした気がする。

スロットだけをやる人生は、もういやだなって。

でも、そういくら思っても、スロットの欲求にこれまで負けてしまったのだけれど……。


ただ、ほんとうに、気持ちは変わり始めているような気がする。それはきっと、自分一人じゃないって思うようになりだしたからだと思う。




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