逮捕された話#5

拘置所生活は、今振り返れば、なんだろう……


究極のニート生活


みたいな。

いや、そりゃ自由はないよ。基本大部屋に閉じ込められてて。出られるのは、週に3回ある運動のときと、お風呂のときくらいかな。運動は拘置所の屋上でなんかひたすら歩いたり、ミニテニスみたいなんできるんだけど、マジ怖いから。だって、犯罪者が20人くらい一同に集うんだから。なかには、いかにもっていう人いるし。

で、やっぱり自分みたいななんか普通な人間がいたら、いろいろ聞かれてめんどくさい。

とりあえずここでも嘘ついたけど。

風呂は、10人くらいで一緒に入ってた。もちろん、ずっと看守が見てるなかで入浴。私語厳禁。

犯罪者の裸見て嬉しいかこのやろうですわ。よくわからんけど。


でもね、思ってたより慣れてくるとほんとニートみたいな感じに思えた。基本、日中は大部屋の中では自由です。話をしたり、将棋をしたり、本を読んだり。

あ、本やらお菓子やらも決まった日にちに注文できるんです。お菓子だけでなく、パンやらコーヒーやら、なんかバナナとかも。とりあえず、お金がある人は、もちろん外ほど種類はないけど、好きなもん買えてました。

本は週刊誌はもちろん、漫画やら小説やら、エロ本も買えます。

だから、日中は菓子を食って漫画みて、みたいな感じ。


ニートでしょ?


しかも!お昼寝の時間もあるのです。

12時―14時半までだったかな。寝てオッケー。で、17時にはもう布団を引いて、21時の就寝までまた菓子食って、本読んで、将棋して、みたいな。

なんか、17時になったら一日終了みたいな感じ。

あ、テレビはないけれど、ラジオが流れてます。流す番組は、投票かなんかで決めてたらしい。

野球中継やら、柏木由紀のユキリンタイムやら、モモクロやら、乃木坂やらのラジオも流れてた。

ドリカムの男だけが出てやるラジオがマジつまらんかった。


あ、我々はまだ裁判を受ける段階で受刑者ではないので、もちろん懲役みたいなんもありません。

ご飯やら洗濯も、全部拘置所にいる受刑者の方がやってくれるので、仕事はほんとなにもないのです。


まぁ、でも、やっぱり大部屋だと人間関係はめんどくさいです。かっこよくいえばヒエラルキー?

なんか、やっぱあぁいうとこにいる人って自分を強く見せたいじゃない?で、刑務官に見えんとこで、嫌がらせやら暴力やらね。

最初は我慢してたけど、僕も結局頭きて喧嘩してしまった。てか、他人とは人生初の喧嘩よ。

でも、喧嘩は絶対やってはいけないことなんです。だって懲罰いきやもん。 

僕の場合は良かったですけどね。おかげて独居(一人部屋)にうつれたから。もう少しで裁判で、おそらく実刑にはならんで出られるだろうってこともあり、懲罰もなかったし。相手の方は結構詰められて、面会禁止やら購入禁止ってなったらしいけど。


一人部屋は、変な言い方だけど、本当に気持ちが楽でした。

だって一人ですよ。一日中考えごとをしたり、何かを書いたり、誰にも邪魔されないんですよ。

本を読み、お菓子を食べ、何かを書いて、昼寝して、ラジオきいて……みたいな。

なんか、本当旅館でもいるような感覚でした。


いや、でも、もう戻りたくないけど。


                  つづく

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