ゲームで女として生きても別にいいじゃないですか

凛陰

ソロ編

第1話 ゲームで女になっても別にいいじゃないですか

小学校のころに友達を作るぞと心から誓ったのだが、友達は出来なかった。

中学校のころに今度こそ作るぞと誓ったのだが、友達は出来なかった。

高校のころに絶対作ってやると誓ったのだが、友達は出来なかった。


どうやら僕はもう孤独で過ごすしかないようだ。


そもそも友達の作り方なんて知らねえし、作ろうと話しかけたら場の空気が悪くなって離れざる負えなかったし、マジでわけわかめ。


こんな時にお母さんがいたらなー。

僕は自分の真っ暗な部屋で一人泣いていた。


そして、孤独を乗り切るための秘策を考えていた。



僕のお母さんは、僕が小学六年生の時に、この今住んでいる一軒家と一億円残して去っていった。


そして、僕はこのお金を使って生きるにあたっては何一つ不自由のない生活を送っているのだが、心の面では、孤独という悲しみに日々耐えていた。

お母さんとお父さんは、僕が小さいころに離婚したので、もちろん帰ってくるのは僕だけ、住んでいるのも僕だけだ。


その孤独から解放されるために僕は様々な方法を試してみた。


まずロボットを買ったり、ペットを飼ったりした。しかしその結果は死んだときにくるとてつもない悲しみだけだった。


そして僕はゲームという手段を選んだ。

試しに学校の子が話していたゲームを買ってみた。


そして、いざ遊んでみると、とてつもなくはまった。

そのゲームとは5対5の陣取りゲーム、このゲームが僕の雄一の救いだった。 

なぜならこのゲームは強制的にランダムなチームが組まれるため、わざわざ仲間に入れてと言わなくても大丈夫なのだ。

後はみんなで協力して陣地を広げる。

これが僕にとっては最高だった。

仲間と協力できる喜び、そして勝ったときの嬉しさ、それから僕は、学校に帰ってからこのゲームをひたすらやり続けた。学校に居るときもずっとそのゲームのことを考えていた。

 

やっていく内に自然とフレンドも出来て、その人たちと喋ったり、一緒に協力プレイもしたりした。


それから月日が経ち、中学3年生の時、僕はいつも通りパソコンを起動して、陣取りゲームをしようと思った。するとこんなことが書いてあった。


陣取りデラックスサービス終了のお知らせ


今回は陣取りデラックスを遊んで下さって、誠にありがとうございます。

突然ですが、今日を保ちまして、陣取りデラックスはサービス終了とさせて頂きます。

今までありがとうございました。

                 はむさっぷより


「なっ何でだよ、何でもう終了しちゃうんだよ、俺の陣取りデラックスはまだ始まったばかりなんだぞ!何でだ、何でだよ」 


自然と目から涙が零れた。

もう、あいつら(フレンド)と会えないと思うと心が痛んだ。


その日はずっと陣取りゲームをした。


それからは、もうあいつらとは話せず再び孤独で生活することにした。


それから月日が経ち、僕はもうパソコンとは向き合わず、家で一人考え事をしていた。

そこで、日曜大工や刺繍をして、気を紛らわせようとしたが、出来た作品を誰にも見せれない悲しさで、普段との生活とは余り変わりはなかった。


そして、高校を卒業した今、僕は大学に行かず自由という時間を手に入れた。


卒業した後は使っていたノートパソコンを売って、新しい最新のパソコンを買った。

そして、僕はあのときの楽しさを取り戻すため、ゲームをすることにした。


ゲームは陣取りゲームでお世話になった会社が作った「ソーシャルタウンエキスポ」

というゲームだ。

名前の由来はなんかビビッと来たかららしい。

 

ゲームとしては、仲間と協力して、モンスターを倒したり、のんびり遊んだりするらしい。

つまり今回は自分からパーティーを組まないとぼっちになるということだ。


だが、ここまでしないと僕の人見知りは克服されないと思う。

だから、今度こそ友達を作ってやる。

正直、陣取りゲームの友達は協力するだけの友達でしかなかった。

そして、今僕が欲しいのは、ゲーム外の話題でも盛り上がれる友達だ。


ぐだぐだ考えててもしょうがねえ。

習うより慣れろだ。

とりあえずやって慣れていくしかねぇぇ!

僕はゲームスタートのボタンを押した。



「やあ、私はゲームマスター、このゲームの全てを管理するものさ。さあ、新たなる冒険者よ、ここに性別と名前をかいてくれ」

ゲームマスターは冒険者に紙を渡した。


開始した直後、いきなり白いワンピースを着た少女が現れた。

その少女は感情がこもっていない、機械じみた声を出して、性別と名前を入力せよ、と喋った。


そのとき、僕は思った。

嬉しいなって。

日々、一人ぼっちで過ごしてきた僕に、こんなに僕の目を見て喋ってくれたのは、とても懐かしい感じがした。

そして、ふとお母さんのことが頭をよぎった。

僕が風邪のときだったり、転んで怪我をしたときも、僕の方をみて、心配してくれたり、看病もしてもらった。


もう一度、会いたいな。


てか、そんなことよりまず性別と名前を決めないと、

まず性別、普通は男性にするだろうが、ここはあえて女性にする。

なぜならこのゲームは男女比が9:1と比較的に男性が多い。

それは、プレイ操作が難しかったり色々と理由はあるらしいが、それだけでこんなに比率が偏るわけがない、正直今は謎に包まれている。

だが、今はとりあえずこれを利用して、ゲーム内の男性をメロメロにさせて、友達いっぱい作るぞ。


今はとりあえず友達を作ることだけを考えよう。

僕の言ってた、外の話題で盛り上がれる友達は、まだ先の話になりそうだ。

正直、いきなり覚醒して、友達が出来るとは思えないし、今はこんな小汚い、いや、まだ清い方か。

まあこの方法を使っていっぱい作るぞ。


僕は一人、心で呟いた。







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