4 バーで一息
今日はオカマバーで作戦会議をしていた。俺の隣には茶髪の女子高生の制服を着た美少女、もとい女装した迅がいる。
「ホントは女なんじゃ?確認してみるか」
針は迅の胸を触ろうとしたら本気で殴られた。何で?酷い…
「あー、お前は変態か?バーカ、セクハラ野郎は死ね。遊んでないで現状報告をするぞ。こっちの策はどうやら上手くいったようだ。そっちはどうだ?」
「俺の方も上手くいったよ。作戦会議には粗野老は少し遅れるそうだ」
「そうか、良かった。まあ、なんだ、とりあえず粗野老が来たら祝杯を上げようぜ。これからがもっと大変だからさ、楽しめる時に楽しまなくちゃな」
迅はいたずらっ子のような顔でくすりと笑う、その仕草や表情に、針は不覚にも見とれてしまった。思考が停止した針に迅はペロリっと舌を出し、悪魔のようにニヤついた。
「どうした?惚れたか?」
「勘違いするな、俺はノーマルだ」
針は慌てて弁解した。
「そうっかー、お前には幼馴染みちゃんがいるしなー」
「別に彼女ってわけじゃないから、片想いなんだよ。アイツはモテるし、俺じゃ釣り合わないよ」
針は言葉にして悲しくなった。
「ホント、嫉妬する」
迅は憎々しげにボソッと呟いた。
「迅何か言った?」
「何でもねーよ」
オカマバーの入り口に見知った男が現れた。
「お、粗野老が来たみたいだな」
「悪いな、遅れた。ソイツは誰だ?迅って奴は何処にいる?」
針はニヤリとすると、お返しとばかりに迅の肩を抱き、悪戯を思い付いた。
「コイツは俺の彼女のリンだ」
粗野老は迅を上から下まで眺める。
「えらい上玉で羨ましいな。だが、胸がない」
「胸が有り無しは関係ない、そこには一つの事実が存在する。それは美少女であると」
「それもそうやな」
迅は驚き頬を染めた。だが、一瞬で冷静になって針の腕を振り払うと針を睨み付けた。
「バカ、何を言ってるんだ。俺は男だ」
店内に迅の声が響いた。店内のオカマが暖かい眼差しで迅を見つめると、サービスだといちごパフェを出してくれた。オカマは迅にウィンクすると奥に引っ込んだ。そして、針は何事もなかったように迅を紹介し始めた。
「悪いな騙して、コイツが迅だ」
針はケラケラとお腹を抱えて笑っていた。
「コイツ、後でシバく」
迅は握り拳を作って、怒りでプルプル震えていた。粗野老は信じられないとでも言うばかりに目を大きく見開いた。
「ホンマか!」
「ホンマや」
「仲良いなお前ら。そんなことより馬鹿やってないで作戦会議するぞ」
迅はやれやれと話を本題に戻した。
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